日本心臓財団HOME > 日本心臓財団の活動 > 循環器最新情報 > 「心臓」特別号「僧帽弁狭窄と逆流」 > 一次性と機能性僧帽弁逆流:病態の違いとは
柴山謙太郎(東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科)
Kentaro Shibayama [Department of Cardiology, Tokyo Bay Urayasu/Ichikawa Medical Center]
僧帽弁逆流(mitral regurgitation: MR)を診療する際に最も重要なのは、機序を正しく診断して病態を理解することである。しかし、実臨床では機序診断が困難な症例は少なくなく、病態の理解が不十分となることがある。また、機序の正確な診断は治療方針の決定に重要であるため、このような症例に対する方針決定が困難となる。これらの診療におけるジレンマをふまえて、この章では僧帽弁の解剖、一次性と機能性MRの機序や病態の違い、MRの診断方法について確認したい。
経胸壁心エコー図心尖部3腔像(左)で収縮期に後尖の逸脱を認める。同断面のカラードプラ法(右)で左房内に後尖から前尖方向への逆流ジェット(矢印)を認め、その左室側には加速血流(矢頭)を認める。
経胸壁心エコー図傍胸骨長軸像(左)で収縮期に両弁尖の心尖部方向への偏位(僧帽弁テザリング)を確認できる。同断面のカラードプラ法(右)で左房内に中央からやや後方に向かう逆流ジェット(矢印)を認め、左室側に加速血流(矢頭)を認める。