不整脈源性右室異形成について教えてください
心室頻拍発作にて入院し、いろいろな検査の結果、不整脈源性右室異形成(ARVD)と診断されました。ソタコール投薬とICD植込み手術を行い、退院後の経過はおおむね良好です。
心室頻拍再発時はアブレーションを行ったほうが良いと、主治医より説明ありました。
拡張型心筋症(DCM)患者などと比べ症例数も少ないようですが、ARVD患者の予後についてお尋ねします。
1)ARVD患者の5年・10年等、生存率はどのくらいでしょうか。
2)ARVDから他の心筋症に移行するか、もしくは不整脈以外の他の心臓疾患を発症することは想定されますか。
3)DCM患者さんのように、アブレーションも含めて手を尽くしても不整脈・心不全等を頻発するようなケースは想定されますか。
4)ソタコール服用における心肥大の副作用発生の可能性とARVD患者の心筋への影響についてのご意見をお願いします。
5)その他、日常生活の注意点等何かありましたら、よろしくお願い申し上げます。
回答
1)左室機能が障害されていないため、拡張型心筋症や心筋梗塞など他の心疾患に比して予後はよく、5年生存率は95%以上と考えられています。
2)右心室に限局した心筋症で、拡張型心筋症や肥大型心筋症など左心室中心の心筋症に移行することはありません。また、右心室の拡張によって三尖弁閉鎖不全や右心不全を起こすことはありますが、心筋梗塞など他の重篤な心疾患を発症する危険性が高いということはありません。
3)通常の不整脈源性右室異形成(ARVD)では、心電図のイプシロン波や心室遅延電位に見られるように右心室局所の伝導遅延部位を回路に含むリエントリー性の単形性心室頻拍が主体ですので、たとえ心室頻拍が起こっても直ちに血行動態が破綻したり、突然死したりする例は稀で、アブレーションが著効することが多いようです。
4)ソタコールはベータ遮断作用を持った強力な3群抗不整脈薬で、多少の陰性変力作用(心筋の収縮力を弱める作用)がありますので、心機能の低下や心不全の誘発に注意が必要ですが、心肥大を起こすという報告はないと思います。
5)ICDが装着されていますのでたとえ心室頻拍が発生しても心配はありませんが、できるだけICD作動回数を減少させるためにソタコールなどの薬剤をきちんと服用することが重要です。
また不整脈の発生には自律神経が大きく関与しますので、禁煙、節酒はもちろん睡眠や食事などのリズムが狂わないようにすること、過労を避け精神的ストレスをうまく発散することなども重要です。
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