拡張型心筋症による心停止と意識障害
57歳の父のことで相談します。10年前より拡張型心筋症があり、7年前よりペースメーカを入れておりましたが、2年前に重度の心不全により心停止状態となりました。救急隊員により、除細動等の処置をしていただいた結果、約5分後に心臓が動き出しました。意識はないまま、その後入院し、心臓の動きは取り戻したものの意識障害(記憶障害)はずっと残ったままでした。(少しずつよくなってはきていますが)
そして、1週間前、再度心不全がありました。心停止には至らなかったものの、血圧の上が50を下回り、自己呼吸の確保も困難な状態にまでなりましたが、主治医にいろいろと手をうっていただき、何とか命は取り留めました。(丸2日間は、低血圧(上が60ぐらいの状況)状態が続きました)。
ようやく、呼吸器も抜管されましたが、本人の意識はあるものの私たち家族を認識できないような状態です。心機能や身体全体のことも心配ですが、前回の時のこともあり、記憶など脳にかかる障害のことが大変に心配です。
情報として書き足りていないものも多いと思いますが、このようなことは、あることなのでしょうか?そして、改善の余地はあるのでしょうか?
回答
ご心痛お察し致します。2年前の心停止は心室頻拍/心室細動と呼ばれる不整脈が原因であったろうと思います。この不整脈による心停止は拡張型心筋症ではまれではありません。1週間前に著明な血圧低下が2日間続き、回復はしたが意識障害の程度が以前に比べて進んだということだと理解しました。文面だけでは何故著明な血圧低下が生じたのか推測できませんが、心臓の機能が低下している拡張型心筋症では、正常な心臓では問題にならない程度の負担でも心臓の機能が更に抑制されて血圧を維持できなくなることがあります。このようなことはよくあるのでしょうかというご質問ですが、2年前の心停止も1週間前の低血圧も、拡張型心筋症では残念ながらまれではありません。意識障害の進行は2日間続いた低血圧が原因と考えられますが、意識障害の程度が以前のレベルまで回復するかどうかは、もうしばらく経過をみないとわかりません。
今は心臓と脳の障害の回復に専念しなければなりませんが、同時に血圧低下の再発防止にも留意する必要があります。主治医はいろいろなことを考えて治療に携わっていると思いますので、良く相談されることをお勧めします。