疾患別解説

疾患別の解説と過去の相談事例がご覧いただけます。

移植以外に治療法はないか

3歳 男性
2004年10月 9日

半年前に心内修復術後完全房室ブロックになり、翌月にペースメーカを植え込みました。

心内修復後に心機能(収縮)が悪くなり、拡張型心筋症と同じような状態になっている。一応はミルリーラが外せれば退院が可能とのことです。
今後の治療法としては、両心室ペーシング、呼吸状態が悪くなれば呼吸器をつけてICU、最後の方法としては移植。
移植は心奇形がある上にMAPCAがあるので肺も一緒に行わないと行けないだろうから難しいとのこと。

本人は調子がよければ小走りしたり、病棟内なら散歩したりしています。疲れるとすぐに横になります。
でも、ちょっとしたきっかけで気管支炎になってしまい、肺や胸の音が悪くなりぜいぜいしてしまいます。
このような状態の場合は移植の適応になるのでしょうか?移植適応の基準が良くわかりません。私としてはこのままの状態が続いてもっと悪化してから移植に踏み切るのなら根本的な治療法がないようなので余力のあるうちに移植をしたほうがいいのではないかと思ってしまいます。
先がまったくみえないので不安でたまりません。
主治医以外の先生方にこのような場合の移植についての意見とほかにも治療法があればお伺いしたいです。

回答

心臓移植についてですが、小さなこどもの場合、はっきりとした適応基準はありません。基本的には、心臓病が重く、移植以外に長期生存が見込めない場合に行うことになります。こどもに当てはまらないものもありますが、一般的には、歩くと息切れが強くあまり歩行できない、点滴による心臓に対する薬剤を継続していて中止できない、移植以外の効果的な心臓手術が行えない、心臓病のため長期に渡り体重増加がない、そして、心不全治療を継続しているが全く改善がなく、これから1年以上生きることがむずかしい、或いは、心臓を補助する機械をつけていることなどが、適応基準になります。心不全の治療は、大きく分けて、薬物療法、外科手術(ペースメーカを含みいくつかの方法があります)、移植などがあります。
最近は進歩してきており、薬物は強心剤、利尿剤以外に、ACE阻害薬(レニベース等です)、ベータ遮断薬(アーチストなどです)などで、患者さんの予後はかなり改善するようになりました。
これらは、すべてすでに使われていますね。外科療法では、また、手術をしないといけませんが、両方の心室、右房をペースメーカで刺激する方法が最近行われています。この方法は効果のある場合とない場合があります。ペースメーカがすでに入っているのですが、多分、手術的に追加処置をしないといけないと思います。
また、左室を小さくする手術もあります。それから、移植ですが、多分肺血圧が高いと思われるので、心臓だけでなく、肺の移植も必要になると思います。大ざっぱに言って、移植は、心臓だけの場合、術後5年生きる率は70?80%ですが、心肺移植の場合は、40%程度です。再移植をする場合もあります。
それから、こどもの心臓移植は、日本で行われていないので、欧米への渡航移植になりますので、多くの費用と海外への移送などを考えないとなりません。移植後も薬を続けたり、定期的に入院検査をしたりする事が必要です。従って、移植に伴うこのような条件と今の患者さんの状態、今後の予測などから、移植する方向に動き出すかを決めていきます。このような点を主治医の先生と良く話して決められると良いかと思います。

この回答はお役に立ちましたか?

病気の症状には個人差があります。
あなたの病気のご相談もぜひお聞かせください。

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い