アンカロンの副作用が不安
現在拡張型心筋症を患っていて、慢性の心不全状態です。12年前から心嚢水貯留があります。
ベータ遮断薬(アーチスト)投与の為、今年の1月から1ヵ月間の予定で入院しましたが、退院する2日前に連発性不整脈(8連発)が出たため入院期間を3週間延長し、最初の2週間はアンカロン200mg/日、その後1週間はアンカロン100mg/日を服薬し退院しました。退院してから今まで約1ヵ月間、アンカロン100mg/日を続けて服薬しております。
アンカロン投与にあたって、担当の先生から副作用に関する説明を受け、その時は了承したのですが、いざ投薬が始まってからは、副作用が起きることについて、とても不安な日々が続いています。
数日前に担当の先生にも相談したのですが、アンカロンの中止は出来ない、と言われました。
この時血液検査も受けたのですが、甲状腺の状態を表す数値が基準範囲から外れており(FT3が2.0、FT4が1.75)、アンカロンの副作用ではないかと危惧しています。
とにかく私としては、アンカロンの服用を中止したいのですが、副作用の症状が出るまで服薬しなければいけないのでしょうか?アンカロン以外で副作用の少ない、不整脈に効果のある薬は無いのでしょうか?
回答
拡張型心筋症で慢性の心不全状態があり、既に12年前から心嚢水貯留がある由をうかがいますとこの病気で長年かなりご苦労なさっているものと拝察いたします。それに今回ベータ遮断薬を始め、さらに8連発の不整脈が出てアンカロン使用し始めたと聞きますと、病状も中程度にきびしいもので主治医の先生も色々工夫を凝らして治療に努められているのではなかろうかと想像致します。
アンカロンは日本では規制のある指定医薬品とされていますが、欧米では普通薬で不整脈の治療薬としては抗不整脈薬の中では最も頻用されているものです。日本では副作用が強調され過ぎた余り初期の段階から開発が遅れ、認可された時点では既に世界の約90カ国で使用されていたほどで、欧米ではかなり広く使われてきた薬です。アンカロンはもともと不整脈に効く薬として知られていたものですが、同時にベータ遮断薬としての作用があり、心筋症の心不全に効くということが分かってきたのはごく最近のことです。しかも初期量が200mg、維持量が100mgというのはかなり慎重な量で、それだけでも最先端の情報にかなり詳しい先生の処方だろうと想像できます。この量では肺でも甲状腺でも検査で多少の異常値を示すことはあっても、ひどい副作用の症状が出てくることは少ないだろうと思います。眼に起こる色素沈着は比較的高頻度にでてきますが眼の機能はほとんど障害されることはありません。
副作用を心配されている気持ちはよく分かりますが、アンカロンに代わる薬はなく、中止すると心不全が悪化する可能性は十分考えられ、また別に不整脈を治す薬も必要が生じてきます。アンカロンの服用を続けることによって仮に副作用が出てもそれが軽度で治療可能の程度なら、失うものよりも得られるものの方が大きいという風に考えることは出来ないでしょうか。時折検査を受けて副作用の程度を見極めながら主治医の先生の意見に従うのが今の最も適切な判断だと思いますが。