肥大型心筋症と出産について
15歳のときに肥大型心筋症と診断されました。
現在は、心室中隔2.1cm、後壁1.3cm
不整脈は月に1?2度程度(5秒以内)
弁の動きは正常で、インデラル10mgを服用中。
現在の病状で出産は可能でしょうか。主治医には、気をつければ可能とうかがっております。
回答
最初の肥大型心筋症はどんな病気なのかについて説明しましょう。
この病気は本態性高血圧、心臓弁膜症、心筋炎、虚血性心疾患など心臓肥大を起こす通常の心臓病とは異なり、心肥大を起こす原因が今もって明らかでなく、また治療法や予防対策が極めて、難しく心拡大や不整脈が続き、予後が不良でやがては心不全が進展し、死に至る悪質の病気です。
どんな病状があるかというと、息切れ、呼吸困難、早期の軽い病期では労作疲労、胸痛、進行すれば安静時の呼吸困難、胸痛、肺梗塞による胸痛、うつ血肝による腹痛、脾、腎などのうつ血による腫大、浮腫、手足のむくみ、顔面のむくみなどを生じます。
また、あらゆる種類の不整脈、頻脈ときには突然死の前兆、あるいは原因となる悪性の不整脈、めまい、失神の引き金となる前駆症状などがしばしば認められます。
さて、本症は徐々ではあるが慢性的にかつ進行性です。また、現在のところ、本症を予防するあるいは悪化を防ぐ確実な対策はほとんどないといってよい。また症状の悪化、突然死などは何らの予兆なく、突然発症することもあります。
本症の予後は河合らの報告によると、5年後の生存率は約92%、10年後の生存率は約80%とされており、拡張型心筋症の生存率に比べると、比較的良好となっています。
しかし、それにしても急死する者がなお少なからずあり、長い人生の中にあっての発生であるので決して無視すべきことではありません。
女性の肥大型心筋症について出産可能であるかとのご質問ですが、あなたの場合心エコー所見、不整脈発生の頻度から推定すると未だそれ程の進展はないようです。しかし妊娠中、どの程度進行するか、推測は出来ません。
やはり日常の生活管理を厳重にして、急進展の可能性に備えておく必要がありましょう。妊娠の時期、出産時あるいは、産褥期、育児期のストレスに耐えうるよう備えておかねばなりません。
肥大型心筋症は遺伝性の心臓病であって、家系内に約50%で類似の病気が存在するといわれており、常染色体優性遺伝形式をとるといわれております。
インデラル投与は、最近みつけられた新しい治療法です。副作用がなさそうならば、是非継続して服用してください。