疾患別解説

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拘束性心筋症の治療

61歳 女性
2003年9月20日

薬 = イノバン・ドブトレックス・ラシックス・ハンプ・ノボリン(点滴)
診断 = 心臓は悪くなったら元には戻らない、急に血圧が下がったり、心拍が止まることがある、といわれています。
相談内容

61歳の母の心臓病が判り、ずっと薬を飲んで生活していました。先日、脱水で入院後、尿が出なくなり、呼吸の状態も不安定になったため、人工呼吸器をつけてもう20日になります。
血圧低下(60)で何度か危ない、といわれながら現在に至っています。
よい治療法はないのでしょうか。

回答

拘束性心筋症という病気は血液を包含んでいる心室腔が縮小したり、筋肉の壁の構造異常をおこし、厚くかつ硬くなり、拡がり難くなって、心臓のポンプ機能が低下した心臓病です。
わが国では稀な病気で、大部分は原因不明です。家族内に多発するので遺伝子異常が疑われております。

経過は年余にわたり、次第に重症心不全に陥り、増悪や寛解を繰り返す例が多くみられます。

症状は全身倦怠感、呼吸困難、動悸、むくみなどの心不全、胸痛、血液が固まりやすく、心臓や血管を詰めてしまう塞栓症を起こしてしまいます。不整脈による突然死を起こすこともあります。

【治療法】
本症では低心拍出状態が起こりやすく、重症心不全になりやすく、有効な治療法に乏しく、治療抵抗性になりやすいのです。したがって、心移植の適応と考えられますが、わが国ではドナー提供者が少なく、年齢的にも実施困難です。
不整脈治療も困難でペースメーカー植え込みを行なうことになります。本症では血栓症を起こしやすく、長期に渡る抗血小板薬投与やワーファリンによる抗凝固療法が必要となります。
なお、三尖弁閉鎖不全は右心室から右房への血液逆流を起こし、心不全を増悪する可能性が大となります。

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