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弁輪拡張を伴う大動脈弁閉鎖不全に対する手術法

36歳 男性
2005年2月 9日

昨年の人間ドックで心雑音を指摘され、今年、循環器内科で心電図・CT・心臓エコー・カテーテル検査から、大動脈弁輪拡張症による拡張部5.8cm、逆流50%の大動脈弁閉鎖不全症が指摘されました。息切れ、めまいなどの自覚症状はありません。
担当医より、拡張が危険域になる前に人工血管、機械弁への置換が必要と、手術をすすめられています。拡張症の場合、自己の大動脈弁をそのまま使う方法は、危険で、再手術が必ず必要となるのでしょうか。また不可能なのですか? 担当の医師は再手術の可能性が少ないという理由で機械弁置換をすすめます。自分としては生活に制限のある機械弁は使いたくないのですが。ご意見をお聞かせ下さい。

回答

弁輪拡張を伴う大動脈弁閉鎖不全に対する手術は現在でもなお進歩の過程にあります。この点単純な大動脈弁置換手術とは異なるところです。手術は弁に対する手術とともに、拡張した上行大動脈の置換も同時に行なうのが普通です。この際ご指摘のように自己の大動脈弁を温存する手術もかなり行なわれていますが、現在ではまだ人工弁に取り替える手術のほうが広く行なわれていると思います。しかし自己の弁を温存する手術を採用する外科医が増えつつあります。世界的にもこの自己弁温存の手術は、進歩の過程にあります。したがいまして、どうしても自分の弁を温存した手術をお受けになりたい場合は、我が国でも一、二を争うような、たくさんの手術をしている施設でご相談になるのが良いと思います。問題は手術の死亡率そのものもさることながら、再手術をどの程度に抑えられるかということと、機械弁を使うことによる術後の抗凝血薬療法施行の不便さとの兼ね合いになると思います。
ご自身の病状にもよることですので、直接詳しいデータを見せて頂くことなしにセカンドオピニオンとしてどちらが良いと一概に申し上げることは困難です。その施設における今日までの手術成績など、お聞きになった上で判断されるのが良いと思いますが、正直なところまだ長期の遠隔成績が出ていない時期ですので、それに基づいてどちらが良いということを申し上げるのはどの施設にとっても困難であると思います。

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