大動脈弁膜症とは
大動脈弁狭窄症
左心室の出口にある大動脈弁は通常3枚の弁尖でできています。
大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁が狭くなるために起こる疾患です。弁口が大きく開かないため、左心室から大動脈(全身)に十分な血液を送り込むことができません。そのため左心室の中の圧力が高い状態が続き、左心室の壁(心筋)に無理な力が加わって厚くなっていきます。血管には十分な血液が流れ込まないため、血圧は低下します。このような状態が続くと、やがてめまいや失神、息切れ、胸痛などの症状が出てきます。
大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁が完全に閉まらないために起こる疾患です。弁口が完全に閉じないと、大動脈から左心室に血液が逆流し、やはり全身に血液を十分に送り込むことができません。無理して血液を送り出すため左心室に負担がかかり、やがて左心室が大きくなり、壁(心筋)ものびてしまいます。このような状態が続くと、動悸、息切れ、呼吸困難といった心不全症状が現れます。
大動脈弁狭窄症の多くは、大動脈弁とその周囲が加齢による変性(石灰化、動脈硬化)で狭くなるもので、動脈硬化性(老人性)大動脈弁狭窄症といいます。大動脈弁閉鎖不全症では、動脈硬化が原因であるもののほか、大動脈弁に近い大動脈に瘤ができて、それに弁がひっぱられて閉鎖不全を起こすことがあります。
また、狭窄症、閉鎖不全症の原因のひとつに先天性の大動脈二尖弁があります。通常は三枚ある弁が生まれつき二枚しかないもので、100人に一人の割合であるといわれています。弁としての機能には異常はなく、ほとんどの人が一生気づかないままですが、一部の人で中高年になった頃に加齢による弁の石灰化(狭窄)あるいは周囲がゆるんで(閉鎖不全)発症することがあります。
監修:渡辺弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長) 2022年3月
妊娠と期外収縮、小学校の心電図検診でQS型といわれた、不整脈と弁膜症で心不全に、狭心症の疑いなど、日本心臓財団は7,500件以上のご相談にお答えしてきました。