心房細動を伴う大動脈弁膜症
2才の時のリウマチ熱が原因で、30年前に大動脈弁と僧帽弁の閉鎖不全症と狭窄症と診断されました。その後一年に一度大学病院で検診を受けています。
今まで出産時以外は薬の服用もなく、普通の生活をしてきました。
先日の検診で心房細動が見つかり、手術を勧められています。
エコー検査で弁の圧差が約100、心臓の大きさや厚さは従来通りとのことですが、この不整脈は治らないので、脳硬塞の予防のためにワーファリン(4錠)を必ず服用するように言われています。僧帽弁は問題ないが、圧差が50以上あるので、大動脈弁の手術を受ける必要があるといわれました。
これといった自覚症状(心臓の息苦しさ)はありませんので、手術をためらっています。
また、予防にワーファリンを飲むようになったのですが、頭痛や下痢そして今まで経験のない胸の痛みを感じ、当惑しています。これは薬の副作用なのでしょうか?私は今までのように薬も飲まず、普通に生活したいのですが、先生はダメだとおっしゃいます。本当に手術しか方法はないのでしょうか。
回答
リウマチ熱が原因で出来たリウマチ性の心臓弁膜症ということで、以来年に一度大学病院で診察をうけられていた由ですが、今回の検診で初めて心房細動を指摘され、今後の方針としてどうすればよいかお困りのようですのでこういう場合の一般的な考え方を記しておきます。
大動脈弁圧差が100(正常は圧差0)ということはかなり大きな負担が長い間左心室にかかっていたということであり、その結果が今回過去の一年の間に心房細動という形に現れてきたのだろうと思います。今までの何の症状もなかったからといってこういう状態はいつまでも放置してよいものではなく、先になればなるほど心臓肥大、心不全、狭心症などの症状が出てきます。圧差100ということはこれだけで十分手術に値する状態で、心房細動が出てきたのをきっかけに手術を促がされたものだと思います。
ワーファリンには頭痛の副作用はありませんが、下痢を訴える人はたまにあります。
これまでに経験したことのない胸の痛みというのは副作用というより心臓病そのものの症状である可能性があります。
圧差100ということは大動脈弁の弁口の面積が非常に狭くなっているということで、そうなれば当然弁の動きもそれ相当にかなり制限されていると考えなければなりません。こういう状態を解消するには手術以外にありません。心房細動といい胸の痛みといいそろそろ手術を考える時期に来ていると見るべきです。この際真剣に考えられてはいかがでしょうか。