疾患別解説

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手術後の血栓防止はワーファリンだけでよいか

30歳 男性
2004年3月22日

20歳で大動脈弁閉鎖不全(先天性二尖弁)と診断され27歳で機械弁置換手術を行いました。
手術を行った病院には1回/年通院し心エコー検査と、レントゲンを行っています。
現在使用の薬は、ワーファリン、ペルサンチン、バイアスピリン、レニベース、ウルグートです。
1回/月のPT-INRは近所の病院で行っています。PT-INRは1.6?1.9の間で落ち着いています。
最近PT-INRの検査を行っている病院の先生が「ワーファリンとレニベースだけでよい、昔はいろいろ飲んでいたが、今こんなに(たくさんの薬を)飲む必要がない。」と断言されました。手術を行った病院の先生に聞いてみると「この処方でよい」といわれます。
より安全なほうはどちらでしょうか?弁置換した大動脈弁閉鎖不全患者への投薬に際し、学会等でも統一の見解が出ているのでしょうか?

回答

ご質問の要旨は血栓発生を防止するためにワーファリンに加えてレニベース、ペルサンチン、アスピリン、ウルグートの投与も必要かどうかということになろうかと思います。ただ、血栓防止という点では関係するのはワーファリン以外はベルサンチンとアスピリンで、その他のものは直接関係ありません。

一般的にいいますと、最近は機械弁にも色々と改良が加えられていますが、普通はワーファリンだけで血液凝固をコントロールしています。そのようにしている病院の方が多いと思います。これにペルサンチン、アスピリンを加えられるのは、それだけ完全を期しておられるのでしょうが、これらの薬には出血傾向の問題もあり、多くの医師はむしろワーファリンのみを使用していると思います。しかしワーファリンにペルサンチン、アスピリンを加えてはならないというものでもありません。従ってそれぞれの医師がその考えるところに従って投与しているというのが実情です。弁置換をした後の投薬について学会で統一の見解を出そうとしても、このように色々な意見があって今のところは完全に一本にすることは難しいと思います。重ねて申しますが、多数意見はワーファリンだけでコントロールする方法だと思います。

手術をして下さった病院と縁が切れるのも心許ないところでしょうから、ワーファリンだけで良いといわれた近所の病院に移られるようにお奨めするという訳にもいかないと思います。薬が多いと煩雑なので、ワーファリンだけでコントロールして頂くことは出来ませんかということを、先生に聞かれてみてはどうでしょうか。最後の手段はご自身の判断でペルサンチンとアスピリンをやめてワーファリンだけにされるということですが、その時はその方法が良いと言われる先生と十分相談してその先生に正確にフォローして頂くことが大切だと思います。

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