大動脈弁狭窄症の手術
60歳の父について相談します。
かるい胸痛があり、受診して大動脈弁狭窄症と診断されて以来、今のところ自覚症状はないのですが、超音波検査などで、数値が100になっているので、手術を勧められています。手術は危険なものなのでしょうか?
この手術はよく行われているのでしょうか?
感染症とは?
術後の回復は良いのでしょうか?
どれ位で通常の生活に戻れるのでしょうか?
先生は糖尿病もあるので、将来的に人工透析などする事になった場合、この心臓のままでは、透析自体できなくなると困るので、今のまだ体力のあるうちに手術を受けたら・・・とおっしゃいますが、今のところ本人は元気なのに、リスクの高い手術を受けて何かあったらと思うとなかなか決心つきません。腎臓などにも影響はありませんか?
回答
お父様の病気は大動脈弁狭窄症で、数値が100になっていると言われるのは恐らく大動脈弁を介しての圧較差が100mmHgということだと思います。そうであればなるべく早く手術を受けられた方がいいと思います。
2001年に全国で約4,500例の大動脈弁置換手術が行われていますが、手術死亡率は3%前後です。現在も何も症状がないというお話ですが、大動脈弁狭窄症の場合、多くは症状が出ると急速に状態が悪くなります。従って、症状がほとんどなくて、しかもいろいろな検査でそういった症状がでるのが近いと思われる時点で手術するのが一番よいと言われています。お父様の場合はまさにそういう時期だと思いますので、手術を受けられることをお奨めします。
糖尿病があると一般的に感染に対する抵抗が弱いとされています。また糖尿病が高度である時は術後の回復が遅れたり、傷の癒合が悪かったりする場合もあります。しかし十分コントロールされた糖尿病であればあまり心配することはないと思います。また手術は腎臓にも影響しますが、現在腎臓自体に障害がなければあまり問題はありません。恐らく糖尿があるので、術後に感染を起こす可能性が高いと言われたのだと思います。それは否定できませんが、糖尿病の程度にもよると思います。
また今一つ言えることことは弁膜症の程度がきつくなってから手術するほど、術後遠隔期の成績がよくないというデータもでています。従って今圧較差100mmHgという状況であれば、早く手術された方がよいと思います。