大動脈2尖弁の手術時期
3年ほど前に大動脈弁が二尖弁と診断されました。検査の結果、大動脈弁の最大血流速度が今は2.55で、4くらいになったら手術が必要と言われました。手術を考える標準数値はいくらぐらいか、アドバイスお願いいたします。
回答
大動脈2尖弁は大動脈弁にみられる先天的な疾患で、200人に1人程度発生すると言われています。通常は3つある大動脈弁の弁尖が2つという形態的異常は、時に狭窄や逆流の原因になります。また大動脈弁にも狭窄や拡大などの形態異常を伴うことがあります。
ご相談者の場合、大動脈弁の最大血流速度が2.55m/sとのこと。手術が必要なのは4m/sと言われていることから、大動脈弁狭窄がある状態という程度に考えられます。
大動脈弁は心臓の出口にある逆流防止弁です。ここを通って酸素の豊富な動脈血が体に送り出されます。一旦心臓から出た血液が心臓に戻らないように、大動脈弁は逆流防止弁として機能しています。
大動脈弁狭窄はこの弁が開きにくくなって生じる弁膜症です。大動脈二尖弁は、その形態から弁にかかるストレスが大きく、組織が固く変化しやすいと考えられており、それが狭窄に繋がります。加齢による大動脈弁狭窄に比べて狭窄の進行が早く、若年で高度になりやすいことが指摘されています。時に、大動脈弁の形態異常とともに大動脈にも形態異常を来たし、大動脈縮窄症や大動脈瘤を合併することも知られています。
そこで大動脈二尖弁の大動脈弁狭窄の経過観察では、心エコー図検査による定量的モニタリングとともに、CTやMRIによる大動脈の形態的スクリーニングが必要です。残念ですが大動脈弁狭窄の進行を止める薬はありません。もし高度になれば外科的治療が必要になります。同様に大動脈狭窄や拡大が高度になった場合にも外科的治療が必要になります。
ちなみに高度な大動脈弁狭窄は最大血流速度 4m/s以上、平均圧較差 40mmHg以上、弁口面積1.0cm2未満あるいは体表面積補正で0.6cm2/m2未満が該当します。
かかりつけの先生と相談し、必要な時期が来たら弁膜症チームのある病院に治療方針を相談されると良いでしょう。ご心配であれば、お近くのセカンドオピニオン外来で意見を聞いてみることもできると思います。