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バイパス手術のリスクと病院選択の基準

68歳 男性
2007年2月 8日

父の今後の治療方法について教えてください。
1年ほど前から胸が痛み出し、カテーテル検査の結果、心臓に血液を送っている大きな大きな動脈の一箇所に、かなり血管が細くなっている部分が発見されました。主治医の話では、治療方法として、ステントを用いたカテーテル治療かバイパス手術が考えられるとのこと。
カテーテルは、患者の負担は少ないが、治療の際、血管の細くなった部分が詰まってしまうことがあり、その場合、緊急手術となり命の危険もあるそうです。ただし、カテーテル成功の確率は95%程度だそうです。治療部位が末端の血管の場合、カテーテル手術中、血管が詰まっても危険は少ないが、大きな血管の場合、ここが手術の際詰まると、心臓の半分近くに血液がながれなくなり、命の危険があるとの説明でした。
一方、バイパス手術は、最近治療成績が上がってきており、命の危険は少ないとのこと。もちろん、感染症などのリスクや手術中の脳梗塞などの危険はあるそうです。患者側に手術方法を選択してほしいとのことでした。

私としましては、命の危険を重視して、バイパス手術を選択しようとしていますが、そのことを含めて、ご意見をお聞かせください。

1)感染症などのリスクを加味すると、バイパス手術のほうがリスクが高いということはありませんか。命のリスクが少ない方法はどちらでしょうか。
2)父は68歳と高齢ですが、体力的に大丈夫でしょか?手術がきっかけでボケが始まる危険は高いでしょうか?
3)手術を受ける病院をインターネットで調べると、心臓外科の研修医を育てるための養成機関もかねているようす。一方、本を読むと、心臓外科医は経験が重要で、年間100回程度の手術経験が望ましいとのことです。執刀の経験の多い先生にお願いすることは、失礼と受け止められてしまうでしょうか。また、どんなメンバーで手術を行うのか事前に相談はできるでしょうか。
4)最近、病院の実力評価が雑誌に掲載されております。オペ回数、死亡率、治療成績などが評価されております。ところが手術予定の病院は、その中には掲載されておらず、素人には正直なところこの病院に任せてよいのか?との不安があります。狭心症治療に関して、どのような基準で医療機関を選べばよいのでしょうか? 今回の場合、病院に治療成績などをお聞きするのは失礼にあたるでしょうか。
5)その他、バイパス手術をした際の危険、後遺症などあればお教えください。
6)セカンドオピニオンとして、バイパス手術の選択は正しいと思われますか。

回答

1)バイパス手術のリスクで最も重要なのは全身状態です。心機能はどうか、腎機能はどうか、脳血流に問題はないか、糖尿病があるかないかなどなどです。さらに冠動脈の状態、例えばバイパス血管をつなぐ血管の大きさなども重要です。通常感染症のリスクはそんなに問題にはなりません。一方、カテーテル治療は狭窄の部位がどこか、狭窄はびまん性か、石灰化が強いかなどでリスクが左右されます。したがって、ご説明の内容だけではどちらがより安全かはっきりいえません。ただ、「大きな大きな血管に細くなっている部分がある」ということですので、左冠動脈の主幹部と呼ばれている血管の狭窄であれば、一般的にはバイパス手術のほうが安全かもしれません。しかし、上記のように、多くの因子が関与しますので、もっと詳しい情報がなければご返事が困難です。

2)68歳と言う年齢は何も問題になりません。年齢よりも全身状態がどうかが問題になります。手術がきっかけでボケが始まる危険性は通常は高くはありません。

3)心臓の手術は必ず経験の多い心臓外科医が入って行われるはずです。研修医が手術することはありません。経験の多い外科医にお願いしたいと言われることは決して失礼にはなりません。納得された上で手術を受けられることをお勧めいたします。

4)すべての病院の成績が公表されているわけではありませんので、患者のお立場では病院の選択が困難であるというご意見は残念ながらその通りだろうと思います。現状では、雑誌に掲載されるされないは、はっきりした成績に基づいてなされているわけではありません。雑誌に掲載されていない病院にもたくさん優れた病院があります。もし家庭医のような方がおられれば、どの病院が良いかその先生にご相談されては如何でしょうか。治療成績をたずねることは失礼になりません。

5)バイパス手術の危険性や後遺症についてはいろいろありますが、外科医の方から手術前に必ず説明があると思います。

6)バイパス手術が正しいかどうかは文面だけではお答えできません。

ご質問されるお気持ちはよく理解しますが、詳細がわからなければ明確に判断できないことが多く、あまり参考になる意見を言えないことをお詫びします。

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