レーザーによる冠動脈形成術は可能か
77歳の父は、カテーテル検査で心臓の3本の血管のうち、2本が詰まっていることがわかりました。冠動脈バイパス手術が必要だといわれています。
先日、新聞にエキシマレーザーによる冠動脈形成術が厚労省の高度先進医療対象となったとの記事が記載されていました。この手術だと開胸手術しないで、血管のつまりを除去できるようです。
そうだとすれば、後遺症やリハビリ等の心配が除かれるのではないでしょうか?高齢なのでこの治療方法を受けさせようかと悩んでいます。どちらの手術が適切かお知恵を拝借したいです。
回答
PCI(冠動脈狭窄病変に対する拡張術)の禁忌のひとつに2枝が完全閉塞で残りの1枝に狭窄病変がありその枝に対する拡張術が挙げられます。
もしこれと同じケースであれば原則として禁忌だと思われます。その場合は、バイパス術が治療の選択になり、治療戦略として一般的であるとお考えください。しかし、施設によっては、完全に詰まっている2枝をstent(Drug-elutingstent:薬剤溶出性ステント:再狭窄防止のために開発されたもの)で拡張して、最後の1枝もstentで拡張するという戦略を取ることもあります。
さて、エキシマレーザーによる冠動脈形成術が厚労省の高度先進医療対象となったとのことですが、これは下肢の虚血を起こす動脈硬化病変に高度先進医療として認定されております。冠動脈病変に対するエキシマレーザーはdrug-elutingstentの登場によりどこの施設でも実施する考えはないと思います。