アブレーションの合併症か
今年3月に心房細動アブレ-ションを行い、6月初めに心臓CT(MDCT)の検査をしました。
3D画像には肺静脈のみ、すぱっと切ったように画像に写ってなく、「合併症です」とだけ言われました。はっきり肺静脈狭窄とも言わず、ただそれだけでした。
自覚症状もなく、肺にも異常がないので、そのまま経過を見ていきましょうとの事でした。
心臓CT検査当初は、脈拍が早く90くらいでした。そのまま検査をし、画像がぶれるとかで1回取り直ししました。
ここで質問ですが、写ってないのに、それだけで合併症と判断できるのでしょうか?
それとも正常でちゃんと肺静脈の血管はあるのに、何かの理由でそこだけ写らない事もあるのでしょうか?
回答
正確な状況がわからないので的確な回答ができませんが、心房細動カテーテルアブレーション後の肺静脈狭窄に関してコメントいたします。
カテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術は、心房細動とくに発作性ないし持続性心房細動の根治療法として確立している治療法です。成功率は対象の選択や判定基準により多少の違いはありますが、おおむねどの施設でも80%以上の好成績が得られています。これは抗不整脈薬による薬物治療の成績を遥かに凌駕するものです。
一方、合併症に関しては、心タンポナーデなど重大なものもゼロではなく、今回ご質問の肺静脈狭窄も1%弱に発生すると報告されていますが、薬物治療における副作用の発生頻度や重症度と比較しても、安全性も高い治療であると言えます。
肺静脈狭窄の診断は心臓MDCTによってなされますが、肺静脈の形には大きな個人差があるため、治療前後の画像が正確に比較できないと狭窄の有無を判断するのが難しいこともあります。とくに心拍数が多いときれいな画像を作成するのが困難になりますので、画像所見のみに頼るのではなく、心不全症状の発現など臨床症状を総合してアブレーションによる合併症かどうかを判断する必要があります。