カテーテル治療中に脳梗塞を起こした
階段を上った後に胸が苦しくなり、しばらくすると治まったので車で外来を受診しました。心電図に乱れがあり、血液検査で心筋が壊れているとのことで(普段高血圧ではありませんでした)、即カテーテル検査入院となり、翌日にカテーテル検査・治療をしました。検査で軽度の心筋梗塞と分かり、次に治療をしようと冠動脈あたりでカテーテルが通りにくく、カテーテルを3回回転させたが通らずこの時点で意識の低下、右手足に麻痺を起こしました。これは、カテーテル検査・治療中に血栓が飛び脳梗塞を起こしたと言われました。大きな合併症と言われたが、こんな事態が起こるのはごく稀で、1万人に1人と事前には聞いていましたが、信じられませんし、納得いきません。これは合併症なのでしょうか?統計的にどれくらいの確率で起こるのでしょうか?また、3回回転させるのは医学一般的に通常操作なのでしょうか?
カテーテル検査以外に、MRI・CT・エコーでも良かったのではと悔やんでいます。
回答
胸苦しさが治まった後にも心電図異常が残り、採血検査で心筋が一部壊れていると言われたということですので、心筋梗塞か不安定狭心症であったことが疑われます。翌日カテーテル検査を受け、引き続き治療手技をしようとしている時に脳梗塞が起こってしまったと理解しました。カテーテル検査の所見がどのようなものであったか不明ですが、おそらく高度の狭窄病変があって、そのままにしておけば大きな心筋梗塞が起こる危険性があると判断されたのではないかと推測します。したがって、治療手技は患者様の治療上必要があってのことであったと考えます。MRI、CTあるいはエコーでも良かったのではないかと悔やんでおられますが、これらは診断のための検査法であり、治療上は役にたちません。また、狭窄部を拡張するためには、狭窄部を通してカテーテルを挿入せねばなりませんが、通りにくい時はカテーテルをいろいろ操作してなんとか通そうと努力します。カテーテルを回転させることは通常操作かどうかお訊ねですが、通りにくい時には通常行われる操作です。カテーテル操作に伴って大動脈内で血栓あるいは血管壁の動脈硬化病巣の一部組織が脳に塞栓(血管に詰まること)したのであろうと考えられます。これはカテーテル操作に伴って稀に生じる合併症のひとつで、術者のミスとはいえません。お気持ちはよく理解できますし、また大変不幸なことでしたが、カテーテル操作手技に合併しうるリスクのひとつであることをご理解ください。