2:1房室ブロックはペースメーカを入れる以外に治療はないか
昨年末、仕事中に動悸を感じ、帰宅後も動悸が続き、自分で脈を取ったところ抜けていることに気づき、総合病院を受診したところ、2:1房室ブロックと診断されました。ペースメーカを勧められたが、治療に抵抗があり、医師と話した結果「ペースメーカを入れなくてもどうにか生活している人もいないわけではないので、どうしても抵抗があるなら、そのままがんばって生活してみてはどうか」と言われました。
別の病院も受診してみましたが、同様の意見でした。その病院では、もしかしたらアロテックが効く可能性があるということで処方されました。しかし、症状があるたびに服薬していますが、効果を感じません。
その後も、仕事の緊張のせいなのか、一日に何度もドキドキすることがあり、その度に脈が抜け、胸部の不快感、立ちくらみ、ふわふわした感じがして仕事に支障がある状態が続いています。
自分でいろいろ調べているのですが、これまで健康診断等の心電図検査で異常を言われたことがなく、今回突然心臓に異常があると指摘されたことに驚き、精神的ショックを受けたために、房室ブロックの症状だけではなく心臓神経症による症状も起こっているのではないかと考えるにいたりました。
そこで、心臓神経症の可能性があるかどうか、その治療が仕事中の緊張による動悸の頻度を減らすのに有効かどうかを教えてください。
また、精神安定剤などで動悸を抑えることが可能でしょうか。可能であれば、そのまま家の近くの精神科や心療内科に受診しても良いのでしょうか、それとも不整脈専門医に紹介してもらうのが良いのでしょうか。
最後に、カテーテル検査は心臓の中から心電図をとる検査であると説明されましたが、具体的にどういう検査なのかということを教えてください。
回答
何人かの医師から説明を受けておられる様なので房室ブロックに関することはほぼ理解されているものと推察いたします。
2:1房室ブロックということですが、このような房室ブロックでも2:1の状態が極めて安定している場合には稀に自覚症状がまったくなくペースメーカも入れずに済んでいる人もありますが、脈を取ってみて脈が抜けるのを感じることがあるという点から考えますと、正常リズムの中に間欠的に2:1房室ブロックが入ってその結果胸部の不快感、立ちくらみ、ふわふわ感が起こっているものと思われます。
つまり2:1房室ブロックの症状そのものであり、心臓神経症とはいえないものです。このような症状がある限り精神科や心療内科に受診しても埒の明く話ではありません。あくまで不整脈の専門医にかかるべきです。
カテーテルによる電気生理学的検査法と言うのは先端に電極のついたカテーテルを心臓の中に入れ心臓内の電気を記録したり、場合によっては電気刺激を与えて心臓の反応を調べる検査ですが、どのようなプロトコールで行うかは各施設によって様々ですからここではその内容までを記すことは出来ません。詳細は実際に行う時になって関係する医師に聞くのが良いと思います。房室ブロックのある人に電気生理学的検査を行うのはあくまで病状を知るための検査ではありません。施設によってはいきなりペースメーカを植込むところもあるようです。
2:1房室ブロックは不完全ブロックの一つですが、より高度の完全ブロックに進行していく場合もあります。但しその頻度は不明です。
年齢から考えて入れたくない気持ちは十分に理解できますが、根本的な治療法はやはりペースメーカの植込みだと思います。筆者の経験から言ってアロテックはこの場合効果はあまり期待できません。