家族歴のないブルガダ波形
心電図検査の波形を見ると明らかにブルガダ型波形を示し、かつサンリズム負荷試験を行うと、波形の上昇が見られました。医師の話では、突然死などの家族歴がなく、発作を一度も起こしたことがない場合、ブルガダ波形を示し、サンリズム負荷で上昇を示しても、ブルガダ症候群とは言えないので、電気生理検査(EPS)を行う必要がないと診断されました。現在の医学会では突然死などの家族歴がなく、発作を一度も起こしたことがない場合、ブルガダ波形を示したような症例において、ブルガダ症候群として埋め込み型除細動器(ICD)を入れてよいのか判断できない(家族歴がないものはブルガダ症候群とはいえないとの論文報告もある)とのことです。EPS試験を行うかはよく考えてください。EPSを行う必要は本当にないのでしょうか。自分としては納得したつもりでしたが、先生にもセカンドオピニオンを勧められました。突然死の可能性もあるため、自分の人生を左右するような内容であり、ご相談いたしたく、よろしくお願いします。
回答
ブルガダ症候群型の心電図には特徴的なものがあります。しかし、この症候群が提唱されるまではこの心電図は病気ではなく、正常の亜型とされていました。この心電図所見は健康な人でもしばしばみられ、何事もなく、一生を終わる人も多かったのです。ところが、このような心電図波形をもつ人のなかに、突然死する人があったことから、注目されるようになりました。この波形は日本人に多くみられ、一万四千人中、100人、0.7%の頻度でみられるとされています。この型の心電図をもつ人の経過・予後を調査した論文はまだ多くありませんが、過去に前兆も、心臓病もなく、家族に突然死の方もいないという場合には、事故の発生率は何でもない人の場合とあまり変わりはないといわれています。電気生理検査は除細動器植え込みを前提とした検査ともいえるものです。むしろ、定期的に心電図をチェックしてもらいながら、経過をみられては如何でしょうか。