疾患別解説

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QT延長症候群

50歳 女性
2004年6月 6日

10数年前に失神発作があり、ホルター心電図にて心室頻拍(VT)を確認。翌年に心臓カテーテル検査を3回行ったが、原因は不明とのこと。
10年ほど前に頻拍発作が頻回となり、ホルター心電図、12誘導心電図にて心室頻拍が確認され、その半年後にカテーテルアブレーションを施行し、QT延長症候群と診断されました。

もともと55回/分位の徐脈でしたが、QT延長を抑えるためのテノーミン服用当初より、だるさ、むくみ、心拍数50回/分、夜間40?45回/分と徐脈がすすみました。ホルター心電図にて2連発まで確認し、自覚症状にて時々ショートランを感じる。心室性期外収縮(PVC)が頻回におこり2段脈もあります。

今後の治療と薬の有効性(他に方法があるのか)等お教えください。

回答

1)まず遺伝性QT延長症候群との診断ですが、遺伝子検索を行って異常が見つかっているか、あるいは突然死が多発しているなど明らかな家族歴があるか、きちんと診断されているのでしょうか?その結果、先天性QT延長症候群(LQT)のどのタイプなのかが診断されているのでしょうか?

2)LQTは遺伝子異常の種類によって現在9種類ほどに分類されています。このうち日本ではLQT1、2、3が多く、それぞれ心電図でのQTの延び方や形に特徴があり、関与するイオン電流や発作の誘因が異なります。したがって、それに基づく治療方針も異なります。

3)また薬剤の影響や電解質異常、徐脈その他の原因による後天性QT延長症候群もよく見られます。この場合は原因の除去が最良の治療と言うことになります。

4)QT延長症候群における不整脈はTorsades depointes(TdP)と呼ばれる特殊な心室頻拍が主体で、これが心室細動に移行して突然死することがあります。その他の不整脈との直接的な関連性はありません。普通の心室頻拍や心室期外収縮の発生とは無関係です。

5)TdPを予防するためには、LQT1、2ではベータ遮断薬が中心に用いられます。ベラパミルが使われることもあります。LQT3ではメキシレチンが有効で、徐脈が関与している場合にはペースメーカを用いることもあります。またTdPによる失神発作を繰り返す場合には植え込み型除細動器の適用も考慮されます。不整脈を起こす基質があるわけではないので、アブレーション治療を行うことはありません。

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