20年前のWPW症候群が再出現する可能性は?
先月末、夜の11時頃、突然胸騒ぎを感じて脈を診ましたところ不整脈で、なかなか治まらないものですから車を運転して病院に行きました。心電図をとり心房細動と言われ当日は入院しましたが、薬等は一切使わず翌朝には治っていました。処方は発作時のみサンリズム、コンスタン各1錠を服用するようにとの事でした。
現在、非常に心配なのは、昔、診断されたことのあるWPW症候群と心房細動合併による心室細動になる事です。これは危険率としては大きいのでしょうか。
<病歴>
1)WPW症候群は30年前に言われましたが、当時は頻拍発作(規則性)が時々あった。
2)20年前から心電図にはデルタ波など出現せず、健康診断でも異常は無く、24時間心電図でも異常はなかった。WPWが消失する事はあり得るのでしょうか。
従って、20年前から頻拍発作はありませんでしたが、今回発作性心房細動が出現したので非常に心配です。
回答
ご質問の要旨は次の2点に集約されると思います。
まず過去20年間全く頻拍発作がなくデルタ波も出現しなくなっているが、このWPW症候群の症状は今後再出現することがあり得るかという問題だと思います。
このことは今の医学では明確な答えがなく、そのような統計的観察もないのですが、経験的に申せばその可能性は非常に低いと思います。したがって20年後に出てきた今回の心房細動は通常の(WPW症候群に合併するものでない)心房細動と同じように考えて処置すればよく、心室細動まで心配されることはありません。
いま一つの問題はWPW症候群が消失することがあり得るのかというご質問です。
WPW症候群の発症のもとになる副伝導路そのものは生涯なくなるものではないと思いますが、貴方のように症状を現さなくなったのは、理由はわかりませんがいつの間にか副伝導路の電気的性質が変化して電気が通りにくくなり、そのために頻拍発作の回路を形成することも、デルタ波を作ることもなくなってWPW症候群とは云えなくなってしまうのだと思います。