WPW症候群とは
WPWとは、この病態を発見した3人の研究者(ウルフ・パーキンソン・ホワイト)の名前の頭文字から取ったもので、デルタ波と呼ばれる特徴的な心電図波形を呈する病態です。
正常の心臓では、興奮は刺激伝導系と呼ばれる1本の電線を通って心房から心室へと伝わって行き、心房と心室はこの刺激伝導系以外の部分では絶縁された状態になっています。ところがWPW症候群では、先天的に、心房と心室の間に刺激伝導系のほかに興奮が通る通路(副伝導路)、道路に例えればバイパスのような組織があります。ふだんはまったく無症状ですが、この副伝導路を介して興奮が旋回して上室頻拍を起こしたり、心房細動などの際に興奮が頻回に心室に伝わったりして極端な頻脈性不整脈を起こすことがあるため、医学的管理が必要になるのです。
健康診断などでもしばしばみられ、無症状であれば無治療で経過を見てよいものですが、頻脈発作が頻繁に起こる場合には、副伝導路部分に高周波電流を通電して焼き切る治療(カテーテルアブレーション)が行われます。
WPW症候群の心電図(典型的なデルタ波を認める)
監修:加藤貴雄(東武鉄道(株)診療所所長/日本医科大学名誉教授) 更新:2022年3月
妊娠と期外収縮、小学校の心電図検診でQS型といわれた、不整脈と弁膜症で心不全に、狭心症の疑いなど、日本心臓財団は7,500件以上のご相談にお答えしてきました。