疾患別解説

疾患別の解説と過去の相談事例がご覧いただけます。

心房細動に起因する脳梗塞の予防

68歳 男性
2004年4月14日

68歳の父は以前から心房細動があり、2年前に、突然脳梗塞で倒れましたが、幸運にも搬送途中で麻痺が取れ、後遺症も無く回復しました。
その時には心房細動に起因する脳梗塞との診断を受け、当時の脳神経外科の医師からワーファリンを処方されました。
今年になって、循環器科の担当医師が変わり、ワーファリンからバイアスピリンへ処方が変更されました。その後、3週間も経たないうちに、脳梗塞で倒れ、今回は、右半身に重い麻痺が残ってしまいました。
担当医師は、処方の変更は原因ではないと言っていますが、本当なのでしょうか?

回答

心房細動における脳梗塞の予防はもっとも難儀する大きな課題です。これまではアスピリン剤が広く用いられていましたが、その効果は疑問視されるようになり、次第にワーファリンが薦められるようになってきています。しかし、実はワーファリンの方がアスピリンよりも有効といっても、両者の差は大変、僅かであり、ワーファリンを用いていても脳梗塞をなくすわけにはいかないのです。しかも、ワーファリンには出血傾向を助長するという大きな副作用があります。ワーファリン使用中に脳梗塞を起こしたときには、これが出血性となって重症化することがあり、このため、ワーファリンを嫌う医師も少なくありません。一定した見解がないままに、これまでに報告されたいろいろな治療成績が検討されているのが現状です。今、この春に出版された手元の指導書をみますと、65歳以下ではアスピリン、75才以上ではワーファリンを薦めるとありました。決定的な効果をもつ新薬が発明されるまでは、個別の症例に対する担当医の経験に頼らざるを得ないところが大きいように思います。

この回答はお役に立ちましたか?

病気の症状には個人差があります。
あなたの病気のご相談もぜひお聞かせください。

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い