心房細動、心房粗動とは
心房細動
心房細動は、心房のあちこちが無秩序にまったくばらばらに収縮する、いわば心房がこきざみに不規則に震えている状態で、これに伴って心室の収縮や脈拍も規則的なリズムがなくなり、長短・大小不規則に現れることになります。心房細動には短時間発作的に起こる発作性心房細動、1週間以上続く持続性心房細動、1年以上続く長期持続性心房細動、全く正常に戻ることのない慢性(永続性)心房細動があります。心房細動は加齢や心臓弁膜症、先天性心疾患などいろいろな心臓病で見られるほか、健康な人にもストレスや喫煙、過度の飲酒、睡眠不足など不規則な生活習慣による自律神経活動の亢進が誘因になって起こることがあります。また発作性に始まったものでも、発作を繰り返すことによってやがては持続性、慢性になって行くことも知られています。
心房細動の心電図(間隔がばらばらで、基線が細かく不規則に揺れている)
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心房細動があっても直ちに生命が脅かされることはありませんが、心房細動になる
と心房全体の収縮性が低下するため、心房内の血液の流れが悪くなり、心房内に血栓ができて、それが脳に飛んで脳梗塞を起こすことがあります。これを防止するために抗凝固治療が行われます。
心房細動の治療としては、薬物治療のほか、最近では肺静脈にある心房細動の原因になる部分から心房を隔離するカテーテルアブレーション治療が確立し、根治を目指して積極的に行われています。
図は日本心臓財団ハートニュース60号より
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心房粗動
心房細動とよく似た病態に心房粗動があります。心房内の一定の経路を興奮が規則的に旋回することによって起こるもので、多くは鋸歯状の心房興奮2回に対して1回心室が興奮し、1分間150回程度の規則的な頻脈を呈します。心房粗動の治療にも、薬物治療とカテーテルアブレーションによる治療があります。
心房粗動の心電図(典型的な鋸歯状波を認め、2対1伝導を示している)
監修:加藤貴雄(東武鉄道(株)診療所所長/日本医科大学名誉教授) 更新:2022年3月
妊娠と期外収縮、小学校の心電図検診でQS型といわれた、不整脈と弁膜症で心不全に、狭心症の疑いなど、日本心臓財団は7,500件以上のご相談にお答えしてきました。