講演に先立ち杉本氏は、最近、医学会や医学団体による一般向けの啓発活動が盛んになっている現状にふれ、「医学会で注目されている話題を一般にもわかりやすく紹介し、健康への関心を高めることは重要」と指摘した。日本心臓財団は早くからこれを実践しており、本ワークショップなどを通じて最新の話題を一般向けに情報提供している。その一環として、今回は慢性腎臓病(CKD)がテーマに選ばれた。杉本氏は、CKDの認知度を高めることは、重篤な疾患への進行を予防する第一歩だとし、そのためには「メディアの力を借りることが非常に効果的」と述べ、メディアによる情報発信に期待感を示した。
矢崎氏は、今回のテーマである慢性腎臓病(CKD)について、「これまで、腎臓の疾患は腎臓という臓器に限ったものと捉えられていたが、最近は腎臓に障害があると他の臓器、特に心臓や全身の血管に悪影響を及ぼすことがわかってきたため注目されるようになった」と述べ、CKDと循環器疾患との関連について理解を深める意義を強調した。また、「今回の講師である槇野博史氏には“腎臓内科からみたCKD”について、筒井裕之氏には“循環器内科からみたCKD”について解説をお願いした。これらの講演により、1人でも多くの方にCKDの重要性を認識していただきたい」と述べ、ワークショップを開始した。