心房細動の早期発見のために Part 2 -病院受診後の流れ-
第59回日本循環器病予防学会学術集会 市民公開講座
予防に勝る治療なし!"SEGODON Project(セゴどんプロジェクト)
2023年6月4日(日)かごしま県民交流センター
主催:鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学/第59回日本循環器病予防学会学術集会
共催:公益財団法人日本心臓財団
講演3
心房細動の早期発見のために Part 2 -病院受診後の流れ-
宮内栄治(鹿児島市立病院 循環器内科 医長)
今、柴田先生より、脈の測り方についてお話がありましたが、みなさんが検脈をして心房細動かもしれない、いつもの脈と違うという疑いを持てば、病院を受診されることを考えると思います。そのとき、病院行ったらどんな検査をするのだろうか、痛かったり苦しい検査をするかもしれないというような不安に襲われて、やっぱり受診するのをやめようかな、と思われては困りますので、受診後、どのような検査をするのかをお話して、安心して病院を受診していただけるようにしたいと思います。
実際にみなさんが病院に行かれたましら、まず問診、診察をして、次に心電図検査を行います。実際の心電図をお示ししますが(図1)、上の段が心房細動の心電図です。心房細動の特徴は、心臓がバラバラ動いているため血液がよどんで血栓ができてしまうことです。心電図ではとがった部分が心臓の1回の拍動を示していますが、心房細動の心電図はこのとがった部分が一定の間隔ではなく、長かったり短かったりバラバラとしています。
図1 心房細動の心電図
下のほうの心電図は正常の人の心電図です。みなさんが自分で脈を測ったらバラバラと感じたり、スマートウォッチで心房細動かもしれませんと表示されたりした場合、病院で心電図を撮って調べたところ、下のほうの心電図のように、正常であったとします。しかし、本当に心房細動がある人でも正常の心電図になることがあります。それは、発作性の心房細動では、正常と心房細動の状態が、常に入れ替わっている状態の場合があるからです。ですから、病院で一度受けた心電図検査が正常の場合でも、心房細動が絶対にありません、とは言えないのです。
そこで、病院での心電図検査が正常でも、心房細動が疑われる場合には、24時間心電図検査を行います(図2)。この検査はコンパクトな心電図の器械を胸や腰に付けて、そこから胸に電極を4つほど付けて、それを付けたまま帰宅していただき、一日過ごしてもらいます。次の日に病院に来ていただき、その器械に記録された24時間の心電図記録を医師が解析して心房細動が出現していないかどうかを調べます。
図2 24時間心電図検査
しかし、24時間検査をしても、その一日はたまたま心房細動が出ない場合もありますから、先ほどお話にあった検脈も大変重要です。おかしいと感じたら、検脈や家庭用心電計、スマートウォッチで脈を測ってみてください。これらの器機も大変進歩していて、これだけで心房細動が診断できるのではないかといわれる時代になってきています。
心房細動と診断されたら、治療に関しては二宮先生がお話してくださいましたが、その前に次の検査としては、血液検査、レントゲン、心臓エコーを行って、心房細動の原因は何なのか、甲状腺は問題ないか、心房細動の合併症として心不全を起こしていないかを調べます。
これが心房細動かもしれないと病院を受診した後の流れになります。心房細動と診断されたら、二宮先生がご説明された治療になるわけですが、私たちセゴどんプロジェクトとして、予防医学界のセゴどんになれるよう、チームをあげて頑張っていきますので、ぜひみなさんもご自身の心房細動の早期発見、早期治療によって健康寿命が長くできるように、日頃からご自身の健康に気を配っていただければと思います。