日本心臓財団HOME > 日本心臓財団の活動 > 循環器最新情報 > 診療のヒント100 > 高血圧に関するQ >高血圧の併用薬としてβ遮断薬を使ってみたいのですが。
高血圧 Question 3
□β遮断薬は、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」において、単剤投与では積極的適応に対する主要降圧薬の一つとして推奨されていますが、併用では推奨される薬剤の組み合わせに含まれていません(表)。
表 降圧薬治療のポイント(日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2014より抜粋)
●Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量利尿薬、β遮断薬を主要降圧薬とし、積極的な適応や禁忌もしくは慎重使用となる病態や合併症の有無に応じて、適切な降圧薬を選択する。(推奨グレードB、エビデンスレベルII) |
●積極的適応のない場合の高血圧に対して、最初に投与すべき降圧薬(第一選択薬)は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の中から選択する。(推奨グレードA、エビデンスレベルI) |
●2剤の併用としてRA系阻害薬(ACE阻害薬あるいはARB)+Ca拮抗薬、RA系阻害薬+利尿薬、Ca拮抗薬+利尿薬が推奨される。(推奨グレードB、エビデンスレベルII) |
さらに同ガイドラインには、β遮断薬について糖尿病惹起作用、心血管合併症抑制での劣性が記載されています。
□しかしガイドラインで参照されている大規模臨床試験は、あくまで集団を対象とした一般論。日頃の診療では、患者さんごとの背景や自覚症状、合併症などを総合的に判断すべきです。
□上記のガイドラインでも、心不全、頻脈、狭心症、心筋梗塞後があれば、β遮断薬の出番があると書いてあります。
□高血圧症の患者さんを治療する目的は、降圧と心血管系合併症の予防のみとは限りません。頻脈性心房細動が動悸や息切れでQOLを低下させ、心不全を誘発するとき、安定労作性狭心症があっても冠動脈インターベンションができないときなど、β遮断薬が考慮されます。
□β遮断薬を使うときは、慎重さが求められます。少量から導入し、副作用を見落とさないようにします。糖尿病、異型狭心症、気管支喘息、徐脈があるときも要注意。どことなくだるくて元気がない、ぼやっとするなどのとらえどころの無い訴えもあるかもしれません。
□保険請求上の注意点を述べます。β遮断薬の適応病名は薬剤や用量によって異なります。高血圧、狭心症、心不全、などお使いのβ遮断薬に適切な病名を付けてください。
□禁忌病名(気管支喘息、房室ブロックなど)も薬剤ごとに異なります。こうした点では、やや使いにくいですが、β遮断薬を必要とする患者さんは少なくありません。
(2014年10月公開)
回答:青柳 昭彦
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