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脂質異常症診断基準(空腹時採血)*
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症** | |
HDLコレステロール | 40 mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド | 150 mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
Non- HDLコレステロール | 170 mg/dL以上 | 高non- HDLコレステロール血症 |
150~169 mg/dL | 境界域高non- HDLコレステロール血症** |
*:10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。
**:スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
冠動脈疾患予防からみた
LDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャート
(危険因子を用いた簡易版)
注)ガイドラインでは、リスクの分類は、吹田研究から導かれた吹田スコアによって分類されることが推奨されている。
吹田スコアの得点 | 予測される10年間の冠動脈疾患発症リスク | 分類 |
40以下 | 2%未満 | 低リスク |
41~55 | 2~9%未満 | 中リスク |
56以上 | 9%以上 | 高リスク |
一方で、ガイドラインでは吹田スコアの算出が煩雑であるため、日常診療に容易に使用できるようにアプリを用意するとともに、危険因子の個数による簡易チャートも作成された。この図はその簡易版のほうである。
吹田スコアの算出法については、ガイドラインを参照されたい。
リスク区分別脂質管理目標値
治療方針の原則 | 管理区分 | 脂質管理目標値(mg/dL) | |||
LDL-C | Non-HDL-C | TG | HDL-C | ||
一次予防 まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する |
低リスク | <160 | <190 | <150 | ≧40 |
中リスク | <140 | <170 | |||
高リスク | <120 | <150 | |||
二次予防 生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する |
冠動脈疾患の既往 | <100 (<70)* |
<130 (<100)* |
*:家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮する。糖尿病でも他のリスク病態(非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、慢性腎臓病、メタボリックシンドローム、主要危険因子の重複、喫煙)を合併するときはこれに準ずる。
生活習慣の改善
運動療法指針
種 類 | 有酸素運動を中心に実施する (ウォーキング、速歩、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギング、サイクリング、ベンチステップ運動など) |
強 度 | 中等度以上を目標にする* |
頻度・時間 | 毎日合計30分以上を目標に実施する (少なくとも週に3日は実施する) |
そ の 他 | 運動療法以外の時間もこまめに歩くなど、できるだけ座ったままの生活を避ける |
*日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 日本動脈硬化学会, 2017より作成