メディア・医療関係者向け
メールマガジン 第145号
HEART WEB NEWS for Media No.145
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS for Media 第145号】2017年9月4日発行(月刊)
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・現在、医療関係者とメディアには同じ情報をお送りしています。ご了承くだ
さい。
【目次】
トピックス:認知症をちゃんと理解していますか?
STOP MI(ストップ 心筋梗塞)
AEDサスペンスドラマゲーム
イベント情報
雑誌「心臓」8月号巻頭特集
「Cardio-Oncologyの現状と課題」
日本循環器病予防セミナー eラーニング受講のご案内
特別寄稿:逝去された日野原重明先生への賛否両論について―聖と俗―
(藤原久義)
ご寄附のお願い
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【トピックス】
認知症をちゃんと理解していますか?
今年の3月に金沢で行われた日本循環器学会学術集会の市民公開講座で、超高齢社会のわが国において、循環器疾患とともに大きな問題となっている認知症について、金沢大学神経内科教授の山田正仁先生の講演を、日本心臓財団ホームページの今月のトピックスにまとめました。
ここではそのエッセンスを紹介します。
認知症は「年相応のもの忘れ」とは違い、何らかの原因で脳の神経細胞が破壊され、記憶力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します。
たとえば、昨日、町で友人と会ったときに、その友人の顔は覚えているのに名前が出てこない、ということがよくあります。これは年相応の物忘れで、日常生活に支障はありません。ところが認知症の場合は、昨日、町で友人と会った出来事自体を忘れて思い出せません。こうなると日常生活に支障を来すことになります。
認知症の前段階として、軽度認知障害があり、ひどい物忘れはあるものの日常生活に支障はない状態をいいます。この段階で早期発見をして原因を診断し治療をすることが、現在の認知症治療の重要なテーマになっています。
現在のわが国の認知症発症者は462万人、軽度認知障害は400万人で、合わせると65歳以上の4人に一人が認知症とその予備軍です。
石川県七尾市中島町で行われている認知症に関する疫学研究によれば、年齢とともに増加しており、85~90歳の年齢階層では約6割以上、90歳以上では8割以上が認知症かその予備軍になっています。すなわち、私たちは長生きすれば認知症になる可能性が高いということです。
認知症というのは症状であり、病気の名前ではありません。認知症を起こす病気はたくさんありますが、もっとも多いのはアルツハイマー病で、認知症の原因の約6割を占めます。次に多いのがレビー小体型認知症、その次に多いのが、脳卒中や脳血管障害が原因で起こる血管性認知症です。
認知症を起こす病気はさまざまであり、その原因疾患を診断し、それに合わせた治療を行うことが重要になります。
また、認知症の予防には生活習慣の改善が大切です。脳卒中や脳血管障害が原因で起こる血管性認知症はもちろんのこと、最近ではアルツハイマー病にも生活習慣が関係しているといわれています。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病があれば、きちんと治療に取り組むこと、運動や趣味、社会的な活動を続けること、食事・栄養に気をつけることがあげられます。
食事はカロリーを控えめに、肉より魚を多く、野菜や果物を多く食べましょう。
生活習慣の改善で、循環器病、認知症を予防しましょう。
詳細は、日本心臓財団ホームページ「今月のトピックス」をご覧ください。
http://www.jhf.or.jp/topics/2017/004392/
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【研究助成・褒賞募集のお知らせ】
第43回日本心臓財団研究奨励
第8回日本心臓財団入澤宏・彩記念研究奨励、女性研究奨励
第5回日本心臓財団拡張型心筋症治療開発研究助成(ほのかちゃん基金)
募集開始しました。詳細は
http://www.jhf.or.jp/josei/post/
日本心臓財団・フィリップス心不全陽圧治療研究奨励賞 募集中
http://www.jhf.or.jp/syou/post/
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【イベント情報】
□■保健指導レベルアップセミナー
「重症化予防 ~未治療者ならびに治療中の方への保健指導のポイント~」
1.ハイリスク者抽出の基本的な考え方
2017年11月11日(土)13時~18時
塩野義製薬株式会社ホール(東京都渋谷区)
2.保健指導としての未治療者への受診勧奨
2017年12月9日(土)13時~18時
塩野義製薬株式会社ホール(東京都渋谷区)
3.高血圧治療中の方の保健指導のポイント ~飲酒を中心に~
2018年1月27日(土)13時~18時
エーザイ株式会社会議室(東京都新宿区)
4.糖尿病性腎症重症化予防の実際
2018年2月24日(土)10時~16時
東京医科大学病院教育研究棟(東京都新宿区)
<参加費、プログラム等詳細>
http://www.jacd.info/hokenshidou-seminar/2017
<主催>
日本循環器病予防学会
*上記は『高血圧・循環器病予防療養指導士』の単位取得が可能。
その他、上記指導士に関するセミナーは下記3回行われます。
○高血圧・循環器病予防療養指導士セミナー
・2017/11/19(日)仙台
・2017/12/10(日)大阪
・2018/1/28(日) 鹿児島
<参加費、プログラム等詳細>
http://www.jpnsh.jp/sidousi/files/seminar2017.pdf
<主催:日本高血圧学会>
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【雑誌「心臓」特集のお知らせ】
☆「心臓」掲載投稿論文が、日本循環器学会認定循環器専門医の研修単位を3
単位取得できるようになりました。皆様の投稿をお待ちしております。
現在発売中の「心臓」8月号の特集は、「Cardio-Oncologyの現状と課題」(企画:佐瀬一洋先生・順天堂大学教授)です。従来からがん治療には抗がん剤の心毒性や放射線治療による動脈硬化症等、循環器系有害事象が伴うことが知られていたが、近年、新しい抗がん剤としての分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬等の登場により、新たな循環器系ご合併症が大きな課題となり、がん治療の継続の可否や緊急時対応、そして心疾患を有するがん患者の問題等、組織的な対応が急務となっています。
本号では、Cardio-Oncologyという新たな学際領域について、最先端で活躍されている先生方からの現状の知見と課題をまとめています。
次号9月号(9月15日発行)の特集は「経カテーテル大動脈弁留置術」です。
http://www.jhf.or.jp/shinzo/
心臓編集室
http://www.jhf.or.jp/shinzo/inquire.html
J-Stage「心臓」バックナンバー
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/shinzo/-char/ja/
☆「心臓」は、日本循環器学会との共同発行です。ご支援いただくための教室
賛助会員・病院賛助会員を募集しています。詳細は本誌をご覧ください。
「心臓」の購読・広告に関するお問い合わせ
http://www.jhf.or.jp/shinzo/pur-ad.html
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【日本循環器病予防セミナー eラーニング受講のご案内】
一般社団法人動脈硬化予防啓発センターでは、一般社団法人日本循環器病予
防学会主催の第28回・第29回日本循環病予防セミナーで行われた講義内容を、
医療関係者向けに無料配信しております。
第一線でご活躍の先生方の講義を通して、予防ガイドラインの根拠となるエ
ビデンスが、どのような研究計画を経て得られるのかが理解できるプログラム
となっております。研究者の方々はもちろん、循環器病予防や動脈硬化予防に
関わる医師、保健師、看護師、管理栄養士、健康運動指導士の方々には、日頃
の活動の基盤となる講義を、いつでも居ながらにして受講できる絶好の機会で
す。
■日本循環器病予防セミナー
主催:一般社団法人日本循環器病予防学会
共催:公益財団法人日本心臓財団、一般社団法人動脈硬化予防啓発センター
<eラーニング受講登録ページ>
http://www.doumyaku-c.jp/elearning/JACD/no29-seminar.html
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【特別寄稿】
逝去された日野原重明先生への賛否両論について―聖と俗―
兵庫県立尼崎総合医療センター 院長 藤原久義
聖路加国際病院名誉理事長、文化勲章受章者、多くの日本国民、特に看護師さんらに慕われた日野原先生が本年7月18日午前6時33分、経管栄養等の積極的延命治療を断り、家族に看取られ、自宅にて、静かに永眠された。享年105歳である。報道によれば、キリスト教式告別式には、皇后様をはじめ、約4,000名が参列されたとのことである。私もその一人であった。
さて、多くの敬意と賛美の報道の中で日野原先生に対する懐疑的意見も、特に医師等から、寄せられている。懐疑的意見の核心は以下のようである。
聖路加国際病院は全室個室であり、サービス等が良いわが国を代表するブランド病院であるが、差額ベッド代が高く、それを払えるいわゆる富裕層を相手にしている。これはいかなる患者も差別なく診なければならないというヒポクラテス以来の医の倫理に反しないか?さらに、日野原先生は著作や講演で、敬虔なキリスト教精神、愛・善意・博愛、弱者や恵まれない人の味方、金や名誉が幅を利かせる俗世界から離れた永遠の命について語っているが、金持ち相手の病院ということと矛盾しているのではないか?
今は亡き私の親友の医師も"日野原先生は偽善者だ"と言っていたことを思いだす。
実は、私自身もこの疑問を懐き、失礼にも日野原先生に直接この疑問をぶつけたことがある。
先生は「日本の病院の最大の弱点は、これだけ国が豊かになっても、いまなお、実際の医療行為や医療機器にばかり目がいって、アメニティがあまりに弱く、居心地悪い入院生活を患者に強いている。これを少しでも改善するためのモデルとして全室個室の病院を建設した。」、「日本では差額ベッド代を徴収できるのは民間病院では全病床の50%以下の病床であり(公立病院では30%以下)、聖路加国際病院のように全室個室でも半分の病床は差額を徴収できない。そのため、半分の個室は差額代を取らずに無料で患者に提供し、一部のベッドは生活保護の患者にも開放している。」こと等を淡々と説明された。
また、「聖路加国際病院は1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件の時に、外来機能を全面的に止める等、全病院を挙げて、災害救急医療に徹した。公的病院以上に公的医療を行う病院として、社会奉仕に努めている。」ことや「病院の敷地内にいわゆる2棟の聖路加タワーを建て、民間に貸し出し、得た利益を聖路加国際病院の赤字補填に使っている。」こと等も付け加えられた。
"水清くして、魚住まず"ということわざがある。この世は聖のみでは成り立たず、また俗のみでも成り立たない。矛盾した聖と俗の両者の統合をいかにするかが我々の工夫のしどころである。日野原先生は聖と俗の両面の達人で、スケールの大きなまれな人物ではないかと思う。しかしこのことは誤解を、特にいわゆる知識人に、与えかねないことも確かであろう。
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【ご寄附のお願い】
日本心臓財団は皆様の寄附により支えられております。
http://www.jhf.or.jp/kifu/
○どなたでも100円からクレジットカードで寄附ができます
https://ent.mb.softbank.jp/apl/charity/sp/creditSelect.jsp?corp=298
○ソフトバンクのスマホをご利用の方は携帯料金と一緒にご寄附ができます
https://ent.mb.softbank.jp/apl/charity/sp/select.jsp?corp=298
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日本心臓財団HEART WEB NEWS
発行:日本心臓財団
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