メディア・医療関係者向け
メールマガジン 第102号
HEART WEB NEWS for Media No.102
======================================================================
【日本心臓財団 HEART WEB NEWS for Media 第102号】2014年2月3日発行(月刊)
======================================================================
・現在、医療関係者とメディアには同じ情報をお送りしています。ご了承くだ
さい。
【目次】
TOPICS「第1回日本心臓財団拡張型心筋症治療開発助成対象者
~小室一成先生に聞く~」
イベント情報
生活習慣病改善プログラムCD-R版 無料配布のお知らせ
雑誌「心臓」1月号巻頭特集「循環器遺伝子治療の新展開」
日本循環器病予防セミナー eラーニング受講のご案内
ドクターのつぶやき「医療者のプロフェッショナル」
ご寄附のお願い
======================================================================
【TOPICS】第1回日本心臓財団拡張型心筋症治療開発助成
~小室一成先生に聞く~
日本心臓財団では今年度より日本心臓財団拡張型心筋症治療開発助成を開始しました。本研究助成は、拡張型心筋症である福本穂香(ほのか)ちゃんが海外での心臓移植を行う(2007年当時は日本での小児への移植は認められていませんでした)ための募金による寄附金がもとになっています。
ほのかちゃんの渡航は実現しましたが、僧帽弁形成手術のみを受けて帰国し、現在は国内での移植を視野に入れた治療を行っています。そして、海外移植治療のために集まった募金の残金を、当財団を含む公益団体へと寄附されました。
財団は、こうした寄附者の意向を受け、ほのかちゃん基金を設立し、拡張型心筋症の患者さんが心臓移植を待つことなく治療できる最善の方法を開発・研究する研究者に助成することとしました。
第1回助成対象者に選ばれたのは、iPS細胞を用いた創薬研究を行う東京大学教授の小室一成先生と細胞免疫治療を試みる北海道大学の筒井裕之先生です。
本号では、小室先生の研究と患者さんへのメッセージを紹介します。
筒井先生の研究と患者さんへのメッセージは、次号で紹介します。
拡張型心筋症患者のiPS細胞を用いた病態解析と創薬
小室一成(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授)
○研究の内容について
私たちの目指している研究は、患者さんの心筋細胞を用いて、その病態を明らかにし、治療法を開発するというものです。具体的には、患者さんから採取した血液細胞からiPS細胞を作成し、心筋細胞に分化させます。次にその患者さんの心筋細胞を使って、正常な心筋細胞と比較して形状や機能を調べることで異常を明らかにし、その異常を治す薬を探します。
今までは生きた心臓の細胞を使った研究は不可能でしたが、iPS細胞を使うことで患者さんの心筋細胞を試験管の中で大量に増やして使うことができるようになりました。この心筋細胞を解析するシステムができれば、現在ある何万という薬をスクリーニングして効果を調べることができます。今までなかった新しい薬を見つけることができる可能性がありますし、個々の患者さんの心筋細胞を使って調べるので、その患者さんに合った薬を見つけることもできるかもしれません。
私たちはすでに心筋症の患者さんの血液細胞からiPS細胞を作り拍動する心筋細胞に分化させることに成功しています。今後は、身体の中の心筋細胞と同じようなレベルに成熟させることと、個々の心筋細胞の異常を発見する解析法を確立することが重要です。
3年以内にはよい心筋細胞と解析法を確立し、薬の探索を開始したいと考えています。
○患者さんへのメッセージ
薬や補助人工心臓など、心筋症の治療の進歩は目を見張るものがあります。私たちは、さらにiPS細胞を用いて、今までできなかった患者さんの心筋細胞を用いた研究を行い、新しい治療薬を見つけたいと思います。そのためにはまだ多くの基礎研究が必要ですが、科学研究の進歩を期待していただき、今ある最善の治療を受けていただければと思います。
======================================================================
【イベント情報】
□■市民公開講座「知って得する循環器病のおはなし」
~あなたに伝えたい、知っていることが循環器病の予防に大切であることを~
日 時:2014年2月9日(日)13:30~16:00(開場13:00)
会 場:キャンパスプラザ京都 5階第1講義室
(京都市下京区西洞院通塩小路下る)
講 演
1.健康であるためにあなたに知っていてほしいこと
-知っていると得する三つのこと-
宮本 恵宏(国立循環器病研究センター予防健診部)
2.心臓発作で倒れた人を助けるにはどうしたらいいか
石見 拓(京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター)
~ご家族からのメッセージ~
「息子からの宿題」 前重 壽郎 様
3.脳卒中の初期症状と正しい対処の仕方
竹川 英宏(獨協医科大学神経内科)
4.糖尿病連携手帳を活用して循環器病をみつけるには
武呂 誠司(大阪赤十字病院糖尿病・内分泌内科)
5.健康長寿の秘訣:みんなで年をとりましょう!
岡村 智教(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)
※入場無料 事前申込不要
主 催:厚生労働科学研究費補助金による
「慢性期ハイリスク者、脳卒中および心疾患患者に適切な早期受診を
促すための地域啓発研究」班
共 催:公益財団法人循環器病研究振興財団
□■第17回日本心臓財団メディアワークショップ
ネット時代の健康管理
~生活習慣病の遠隔管理から被災地支援まで~
会 場:トラストシティカンファレンス・丸の内3F「Room1」
東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN 館3F
日 時:2014年2月14日(金)17:30~19:00(開場/17:00~)
プログラム:
講演1:災害時の心血管リスク予防からITを用いた
慢性期リスク管理の現状と展望
苅尾 七臣(自治医科大学附属病院循環器内科主任教授)
講演2:生活習慣病における遠隔医療の現状と展望」
中元 秀友(埼玉医科大学病院総合診療内科診療科長)
□■メディカルスタッフ向けセミナー
保健指導レベルアップセミナー ----事例演習シリーズ----
~ 今回のテーマ:事例から学ぶ特定保健指導のポイント ~
日 時:2014年3月8日(土) 13時~18時(受付12時半~)
会 場:公益財団法人結核予防会第一健康相談所 5階会議室
(東京都千代田区三崎町1-3-12 水道橋ビル)
詳 細:日本循環器管理研究協議会
http://www.jacd.info/
□■第78回日本循環器学会学術集会 市民公開講座
1)第12回禁煙推進・心肺蘇生法 合同市民公開講座
命の大切さを考える
-禁煙推進と心肺蘇生法(コールアンドプッシュ)-
日 時:2014年3月22日(土)13時~16時半
会 場:サンケイホール(東京都千代田区大手町1-7-2)
主 催:日本循環器学会 禁煙推進委員会/循環器救急医療委員会
*詳細は下記参照
http://www2.convention.co.jp/jcs2014/japan/shimin/index.html
2)「心臓病とともに生きる」
日 時:2014年3月23日(日)14時50分~17時10分
会 場:東京国際フォーラム ホールC(東京都千代田区丸ノ内3-5-1)
主 催:第78回日本循環器学会学術集会、日本心臓財団、朝日新聞社
協 賛:第一三共株式会社
プログラム(予定)
講演1:狭心症・心筋梗塞と上手に付き合うには
山岸 正和(金沢大学循環器内科)
講演2:心不全と上手に付き合うには
筒井 裕之(北海道大学循環器内科)
講演3:生活習慣病と上手に付き合うには
久代登志男(日本大学総合健診センター)
対 談:いつもチャレンジ精神で~いきいきと毎日を過ごすために~
永井 良三(自治医科大学)
草野 仁(TVキャスター)
パネルディスカッション
司会:永井 良三(自治医科大学)・平田 恭信(東京逓信病院)
*申込み等は後日、朝日新聞、日本心臓財団HPにてお知らせします。
□■循環器病予防に取り組む若手研究者のための実践講座
第27回日本循環器病予防セミナー
テーマ:歴史から学び、これからの循環器病予防戦略を考える
(疫学・臨床研究プロトコール作成のための実践講座 初・中級コース)
会 期:2014年7月30日(水)~8月3日(日)
会 場:ラフォーレ琵琶湖
(〒524-0101 滋賀県守山市今浜町十軒家2876)
詳 細:日本循環器管理研究協議会
http://www.jacd.info/
======================================================================
【生活習慣病改善プログラムCD-R版 無料配布のお知らせ】
生活習慣病改善プログラムは、当財団が2011年10月までインターネット上にて運営し、そのデータを個人情報は含まずに集計し、調査・解析を行い、その最終報告を昨年の雑誌「心臓」4月号に掲載いたしました。
このたび、プログラムをより使いやすく改修し、今までご利用いただいた先生方、および新規の医療従事者の方々に、CD-Rとして無料提供させていただきます。今回配布するプログラムは、個人が各パソコン上で使用するもので、更
新情報等のダウンロード時以外は、通常、インターネットには接続いたしません。なお、このような日本心臓財団の活動は皆様のご寄附で行われております。
ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
ぜひ、生活習慣病の効果的な治療の一助としてお役立てください。
*「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」に合わせ、バージョンアップしました。
詳細は当財団ホームページより(医療従事者専用)
https://www.jhf.or.jp/lsmp/
======================================================================
【雑誌「心臓」特集のお知らせ】
「心臓」1月号の特集は、「循環器遺伝子診療の新展開:遺伝子型から臨床へ」(企画:磯部光章先生)です。
遺伝子異常についての研究は大きく進展していますが、この遺伝子情報をどのように臨床に反映させていくかは模索状態ともいえます。本号では心筋症、不整脈、マルファン症候群についての最新の知見を紹介します。
http://www.jhf.or.jp/shinzo/
☆「心臓」のバックナンバーがJ-Stage(科学技術振興機構が運営する総合電子ジャーナル掲載サイト)にて創刊号より閲覧できるようになりました(発行1年後を目安に掲載してまいります)。どうぞご利用ください。
J-Stage「心臓」
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/shinzo/-char/ja/
☆現在は、日本循環器学会との共同発行になっており、おかげさまにて投稿数も増加しています。今後も内容をますます充実させていく所存です。この歴史ある学術誌を存続させていくために、ご購読をお願い申しあげます。
☆教室賛助会員・病院賛助会員も募集中です。詳細は本誌をご覧ください。
「心臓」の購読・広告に関するお問い合わせ
http://www.jhf.or.jp/shinzo/pur-ad.html
======================================================================
【日本循環器病予防セミナー eラーニング受講のご案内】
2013年夏に開催された「第26回 日本循環器病予防セミナー」で行われた講義内容を、医療関係者向けに無料配信しております。
第一線でご活躍の先生方の講義を通して、予防ガイドラインの根拠となるエビデンスが、どのような研究計画を経て得られるのかが理解できるプログラムとなっております。研究者の方々はもちろん、循環器病予防や動脈硬化予防に関わる医師、保健師、看護師、管理栄養士、健康運動指導士の方々には、日頃の活動の基盤となる講義を、いつでも居ながらにして受講できる絶好の機会です。
第26回 日本循環器病予防セミナー
テーマ「ライフステージに応じた循環器病予防:エビデンスの構築と実践にむけて」
主催:日本循環器管理研究協議会
共催:日本心臓財団、動脈硬化予防(研究・行動)啓発センター
eラーニング受講登録ページ
http://www.doumyaku-c.jp/elearning/JACD/no26-seminar.html
======================================================================
【ドクターのつぶやき】
-医療者のプロフェッショナル-
どんな職業でも専門職となれば、一般にプロフェッショナルとよばれるが、professionalの語源は「profess ? 神の宣託」に由来することは、あまり知られていない。
すなわち、「神が行う行為」を神に代わって行うわけで、まず初めに「プロフェッション(専門職)」と呼ばれたのが牧師である。次にprofessor (教授)、医者、弁護士と続くわけで、professorも元々は神学校の神父を意味していたため、「professを行う人」になったのであろうと考えられる。
したがって、プロフェッションはスペシャリスト(特殊な領域に通じた人)とは異なり、神に代わって公共の福祉に貢献する専門職であることを忘れてはならない。
このような歴史的背景から、プロフェッションに、3つの使命が付与されている。(1)公共の福祉に貢献すること、(2)専門職に値する技術と知識を有していること、(3)倫理性を担保する自立(autonomy) を全うすることである。
医師や医療者は文字通りプロフェッショナルでなければならないが、このことはすでにヒポクラテスの誓いにも謳われている。病人の苦痛を緩和し、疾病を治療することにより人々を癒すこと、医学知識や医術の伝承を行うこと、また個人の秘密保護や人権擁護など医師のモラルを護ることが謳われており、まさにプロフェッションの3条件に相当する。
第3の使命であるautonomyは専門職ゆえの倫理性の担保と換言できる。専門性が高くなればなる程、その事象や行為の内容が非専門者には理解が難しくなり、透明性が低下する。そのため専門職同士の監視が必要となる。
学術論文のpeer review (同僚による査読)による評価や医療専門者による病院機能評価や臨床研究における倫理審査などがこの典型であるが、このような評価や監視は、あくまでも医療受給者へ透明性 (accountability) を担保する補助手段であり、確かに有用な仕掛けではあるが、autonomyの本質を表しているものではない。
現在、世間を騒がしている論文不正問題も、モラルに基づくself-governmentの脆弱さに由来する。第2の使命、すなわち医学の生涯研鑽と同様に、より高いautonomyを目指して自己研鑽する生涯教育プログラムが必要なのかもしれない。
(M.H)
======================================================================
【ご寄附のお願い】
日本心臓財団は皆様の寄附により支えられております。
http://www.jhf.or.jp/kifu/
なお、日本財団の提供するシステム(CANPAN)を利用して、当財団で
もインターネットによる寄附(賛助会費含む)ができるようになりました。
カード決済になりますが、こちらのほうが便利な方はぜひご利用のうえ、ご
寄附をいただけますと幸いです。なおご寄附につきましてその金額は問いませ
ん。
また当財団への寄附は税制上の優遇措置が受けられます。なにとぞ宜しくお
願いいたします。
======================================================================
日本心臓財団HEART WEB NEWS
発行:日本心臓財団
http://www.jhf.or.jp/
[ご意見・ご感想、配信先変更・配信中止等はこちらのアドレスにご連絡くだ
さい]
response@jhf.or.jp