一般向けメールマガジン 第221号
HEART WEB NEWS No.221
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第221号】2024年1月11日発行(月刊)
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【目次】
新年のご挨拶
お知らせ
ドクターのつぶやき:告知をする時代
ご寄附のお願い
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【新年のご挨拶】
明けましておめでとうございます。
新年にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
日本心臓財団にとりまして設立54年目となる年を迎えました。
半世紀以上の間、心臓病に対して多くの若手研究者の方々への研究助成と充実した啓発活動を継続してまいることができましたのも、ひとえに皆さまからの多大なご支援と、多くの諸先輩医師の方々のご尽力の賜物でございます。ここに篤く御礼申し上げます。
長期に亘り続いておりました新型コロナウイルス感染も、ようやく落ち着いてきており、昨年より少しずつ市民公開講座など対面のイベントも実施できるようになりました。もちろんまだまだ感染のリスクはあり、心臓病等の持病がある人は十分な注意が必要ですが、活発な社会生活が戻りつつあります。
この数年の在宅中心の生活は、運動不足になりがちだったかと思います。ご高齢の方々にとっては、運動不足が肥満やフレイルにつながることもありますので、ご自身に合った運動を心がけてください。持病のある方は、主治医とよくご相談の上、適した運動を行ってください。
昨年は、健康ハートの日におきましては、日本循環器学会、日本循環器協会、日本AED財団とともに、さまざまなイベントを実施いたしました。「ハートはともだち」というキャッチフレーズのもと、『キャプテン翼』の作者である高橋陽一先生にご協力いただき、漫画のキャラクターで心臓病を持つサッカー選手、三杉淳くんのイラストを描いていただき、啓発アンバサダーとしてポスターなどに活用させていただきました。さらに、30周年を迎えたJリーグとコラボし、心臓突然死の予防を呼びかけました。恒例の夏休みの小学生に向けたオンライン授業「ハートの応援団」や、「循環器予防啓発の新たなキックオフ」をテーマにハイブリッド開催した健康ハート・シンポジウムも大変好評でした。
また、ACジャパン支援キャンペーンとして、心房細動の予防啓発を現在もテレビ・ラジオのCMや交通広告、新聞広告で行っております。
こうしたさまざまな心臓病予防啓発の事業を今年度も引き続き実施していく所存です。
心臓病や脳卒中などの循環器病予防対策は、健康長寿の延伸を目指す超高齢社会のわが国において、国を挙げて取り組むべき最重要課題であり、そのための法律である循環器病対策基本法が成立し施行されています。日本心臓財団におきましても法に則した循環器病予防対策を国や自治体、学会と協力して尽力してまいります。
こうした活動は、すべて皆さまからのご寄附があっての賜物です。今後ともよろしくご支援いただきますようお願い申し上げます。
最後に、皆さまにとりまして2024年が健康でより良き年となりますよう心からお祈り申し上げます。
公益財団法人 日本心臓財団
理事長 矢崎 義雄
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【お知らせ】
★健康ハートウィーク2023
プログラムの一部はアーカイブでご覧になれます。
https://www.kenko810.com/
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【ドクターのつぶやき】
告知をする時代
寺田寅彦(1878-1935)は随筆家として知られているが、この人をめぐる随筆も数多くある。「池内了:ふだん着の寺田寅彦、平凡社、2020」もその一つである。
寅彦はあまいもの、コーヒー、タバコがお好きだったらしい。亡くなったのは58才という若さである。ご病気は消化管の悪性腫瘍が転移性骨腫瘍を生じたものだったらしい。
寅彦が自分のご病気をどのように考えていたのか、気になった。1918年暮れから胃の具合が悪く、翌年、吐血し、ほぼ2年間、大学を休んでいる。この頃、有名な尼子医師の名前がでてくる。1922年までの間は度々、来診いただくなど、受診は頻回にあったが、尼子医師は1930年に逝去された。1923年の関東大震災では、精力的な調査活動に従事した。一方、入沢内科を受診した、という記載もある。このころからのかかりつけ医は溝渕医師である。溝渕医師は寅彦の10才年下で、郷里の高知では実家が近かったという。1935年になると、激しい腰痛のために病床につき、東大の真鍋教授の診察を受け、整形外科の高木博士、内科の島薗博士の診察も受けている。
寅彦は病気が治るのか、治らないのか、気にしていたらしい。医師の回答は見当がつかないというものだった。寅彦は「すっかり悲観していた。正直すぎるのはいけない、嘘もつけ。」、「嘘でも患者を元気づけるのが医者ではないか。」と書いている。「偉い医者にかかると、いい加減、オモチャにされて、結局、治るときがくるまで、なおらない。」といっている。「自分の病気はそこらの医者にはわからない。有名な医者は威張っているからいやだ。」と書いている。
ここで弁解しておきたい。今日、病気の扱い方は患者自身が選ぶ時代となった。治らない病気の扱いもまた、同じである。治らない病気がある一方で、治し方が危険をともなう場合もある。これらを含めて、病気の扱いは患者自身が決定する。医者は患者の相談を受けて、その意見を尊重して治療方針を決定し、実践する。これを病気の「告知」という。一方、医者には守秘義務があり、患者の悩みを他にもらしてはならない。私は、よい時代になった、と思っている。
告知が常識になったのは、やっと近年になってのことである。私はこの大事な近年に生きてきたことを有難く思っている。寅彦は決して生来の医者嫌いではないのであろう。告知ということがない時代だったのである。もし、近年に生きた人であったならば、告知を受けることによって、悩み方は少し、違っていたであろう。もっとも、あるいはまた、違った悩みが生まれていたかもしれない。(T.S.)
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