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一般向けメールマガジン 第208号

HEART WEB NEWS No.208

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第208号】2022年12月1日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:心房細動の最新知見(第23回日本心臓財団メディアワークショップより)
 お知らせ:健康ハートウィーク2022動画公開
 ドクターのつぶやき:コロナ・ウイルスと心不全
 ご寄附のお願い

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【トピック】

 心房細動の最新知見(第23回日本心臓財団メディアワークショップより)

 去る10月6日(木)、メディアを対象にした第23回日本心臓財団メディアワークショップが、オンライン形式で開催されました。今回のテーマは、「日常に潜む脳卒中の大きなリスク、心房細動対策のフロントライン~心不全の合併率も高い不整脈「心房細動」の最新知見~」と題して、京都府立医科大学循環器内科学講師の妹尾恵太郎先生にご講演いただきました。今回はその内容をご紹介します。

 日本における心房細動の患者数は、2030年には108万人を超えると予測されています。高齢化に伴い今後も増えると考えられますが、これはあくまで検診や受診によって心房細動が認められた数であり、無症状の心房細動を含めた場合、推定患者数はさらに多い可能性があります。
 心房細動の「心房」とは、心臓内にある「4つの部屋」のうち上の2つを指し、心臓はそこから流れる電気信号によって筋肉を収縮させて拍動します。心房細動では電気信号が乱れて心房から心室に十分な血液を送れなくなり、血液を全身に送り出す心室のポンプ機能が低下し、心不全を発症します。また発症すると心房内で血液が淀み、血の塊(血栓)ができやすくなり、その血栓が血流に乗って脳の中に飛ぶと、脳血管が詰まり、脳梗塞を発症します。特に心房細動から生じる脳梗塞は「心原性脳塞栓症」といわれ、脳の太い血管を詰まらせるため命に関わる危険な状態になることも多く、一命をとりとめても半身麻痺や寝たきりなど、非常に重い後遺症が残る場合があります。

 心房細動の危険因子は、心臓由来では、心不全や高血圧、狭心症や心筋梗塞、弁膜症が挙げられます。心臓由来でないものでは、加齢や肥満、糖尿病、飲酒や喫煙の習慣、睡眠時無呼吸症候群、ストレスや甲状腺機能亢進症などが挙げられ、特にメタボリックシンドロームや不規則な生活習慣の人は、心房細動にもなりやすいといわれています。
 このように心房細動のリスクが高い人が罹患を早期発見するためには、まず「軽い息切れ」や「動悸」といった症状を見過ごさないことが重要ですが、こうした自覚症状があるのは全体の6割程度であり、残り4割の方は無症状であることがわかっています。
 そこで、自分で自身の脈を調べる「検脈」や、家庭用心電計などを用いた自宅での心電図計測も有効です。

 詳しくは日本心臓財団ホームページ「メディアワークショップ」をご覧ください。
 https://www.jhf.or.jp/action/mediaWS/23/

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【健康ハートウィーク2022動画公開】

 8月10日の健康ハートの日を中心に、今年は健康ハートウィーク2022と題して、さまざまな啓発活動が日本心臓財団、日本循環器学会、日本循環器協会の3団体共催により実施されました。コロナ感染拡大防止の観点から、その多くはオンラインのイベントでしたが、アーカイブとしてたくさんの記録を残すことができました。ぜひご覧いただけますと幸いです。

 健康ハートの日 x 横浜FCコラボ「心臓病を克服したミネイロ選手と循環器医師のハート対談」
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/yokohama-fc/

 すごいぜ 心臓「小学生向け心臓教室」
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/heart-class/

 集まれ!未来のドクター(高校生、予備校生向け)
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/mirai-doctor/

 心筋梗塞患者と家族インタビュー 心疾患を防ぐために明日からできること
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/post-1/

 現役医師たちに SUSURUの毎日ラーメン生活を見せてみた(SUSURU TV)
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/susutainability/

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【ドクターのつぶやき】
 
 コロナ・ウイルスと心不全

 コロナ禍のなかで、知人・友人からの訃報をいただくことがある。病名が書いてあるものは多くはないが、平素の様子から、コロナ感染、あるいはその合併症だったのではないか、と気になる例がときにある。そのような中で、日本心臓財団ホームページに掲載されている、本年8月10日の健康ハートの日に開催されたシンポジウム「COVID-19パンデミックから学ぶ心不全対策」(医療従事者対象)の記録を読ませていただいた。
 https://www.jhf.or.jp/heart-symposium-2022/

 シンポジウムの前半はコロナ感染の心臓への影響、後半は心不全のパンデミック対策の近況、がテーマである。気持ちが晴れないままに、コロナ感染に関わる記録の前半部分から気になる箇所を箇条書きにしてみた。

1.ワクチン接種4回目が徐々に増加している。感染対策の上からは80%ほどに達することが望まれる。ワクチンのタイプは製薬会社によって異なるが、投与方法は統一されている。
2.新型コロナ・ウイルスはRNAウイルスである限り変異が頻繁に起こるので、感染そのものを防ぐというよりは、重症化予防にシフトしている。ワクチン未接種で感染した若者では脱水など症状が重い方が多い。
3.肺炎球菌ワクチンは心不全患者全員に接種が望ましいワクチンである。ことに心臓疾患の他、喫煙者、糖尿病、肺疾患、腎臓病、癌、免疫抑制薬服用中、HIVといった方々には大事である。不活性化帯状疱疹ワクチンも推奨される。
4.コロナ感染症における循環器疾患としては心筋・心膜炎、不整脈、静脈血栓塞栓症、脳卒中、心不全、急性冠症候群などがある。初期のワクチン未接種例では65才以上の感染者の院内死亡率は15%を超える。
5.バイオマーカー高値の感染患者では、心臓MRI上、心筋炎の診断基準を満たす異常造影効果が26%に認められるという報告がある。高感度トロポニン陽性例では心筋炎に注意する。
6.mRNAワクチン接種後心筋炎は1ないし2.9%で軽度といわれる。ワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎に関しては日本循環器学会の声明(2021.7.21.)がある。

 ポイントを書き出して、気持は再び、冒頭の今は亡き知人・友人の場合に戻った。やはり、もっとも警戒されるべきはコロナ・ウイルス感染なのである。そして、この際、特に基礎疾患の管理には慎重でなければならない。失った知人・友人を惜しみながら、気持を新たにさせられた教えがここにはあった。(T.S.)

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 日本心臓財団HEART WEB NEWS
 発行:日本心臓財団
 https://www.jhf.or.jp/

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