一般向けメールマガジン 第194号
HEART WEB NEWS No.194
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第194号】2021年10月4日発行(月刊)
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【目次】
トピック:心不全にならない方法を教えます
ドクターのつぶやき:コロナ禍での生活
ご寄附のお願い
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【トピック】
心不全にならない方法を教えます
2021年3月28日にオンラインで実施されました第85回日本循環器学会学術集会市民公開講座で講演された心不全に関する筒井裕之先生(九州大学)と小室一成先生(東京大学)のお話を日本心臓財団ホームページ「今日のトピックス」にアップいたしました。
本号では、小室先生の「心不全にならない方法を教えます」を紹介します。
現在、日本には心不全の患者さんが約120万人いるといわれています。人口の減少に反して心不全患者が増え続けているこの状況は、「心不全パンデミック」と呼ばれています。
背景にあるのは高齢化です。心不全は高齢者の病気で、64歳以下の患者数は10万人あたり20人ほどですが、65歳以上になるとその数は10倍以上に跳ね上がります。世界のなかでも超高齢化の先頭を走っている日本では心不全が多いのも必然といえます。
心不全は、弁膜症や虚血性心疾患、心房細動などさまざまな循環器疾患が最後にたどり着く終末像でもあります。また、高血圧や先天的心疾患からも、心不全にたどり着くケースが多くあります。
さらに、最近注目されているのが「がん」です。かつては「不治の病」といわれたがんですが、治療の進歩により、現在では、全がんの5年生存率は68.6%まで伸びています。一方で、多くの抗がん剤には、心臓を傷害する副作用(心毒性)があるため、治療中や治療後に、心不全を発症する人が増えています。心不全の4年生存率は55.8%とがんより低く、こうしたことからも、心不全はがん以上に怖い病気だといえます。
心不全には、A~Dの4つのステージがあり、それぞれのステージに進まないように予防することが可能です。つまり、予防のチャンスが4回あります。
0次予防:ステージA(肥満・糖尿病、脂質異常症、高血圧といった心臓病になるリスクが高い人)に進まないためには、よい生活習慣(運動・肥満予防、禁煙、減塩・節酒など)を身につけることが重要であり、それが心不全予防の第一歩です。
1次予防:ステージB(心筋梗塞や弁膜症といった心臓病になってしまった人)に進まないためには、生活習慣の改善と心臓病のリスクに対する適切な治療が大切です。
2次予防:たとえステージBになってしまっても、生活習慣の改善と適切な治療によって、次のステージC(心不全の発症)を防ぐことができます。
3次予防:さらに、もし心不全になってしまい入院したとしても、大半の人は歩いて退院できます。しかし、心不全の特徴はまたすぐに息苦しくなることです。これを急性増悪といいますが、入退院を繰り返すたびに全身状態が1段階ずつ低下していき(ステージD)、最終的には命を落としてしまいます。ですから、二度と急性増悪しないようにすることが大切です。適度な運動を行い、塩分や飲水過多を避けるほか、自己判断で薬をやめたりしないようにしましょう。
心不全が疑われる症状として、典型的なものが息切れとむくみです。高齢者は、年齢のせいで息切れやむくみが起こる場合もありますが注意していただきたいのは「変化」です。
息切れやむくみに関して、2,3月前と比べて、急激な変化を感じたら、年のせいと放置せず、早めに受診していただきたいと思います。
くわしくは、日本心臓財団ホームページをご覧ください。
https://www.jhf.or.jp/topics/2021/008151/
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【ドクターのつぶやき】
コロナ禍での生活
新型コロナウイルス感染症は、非常事態宣言を嘲笑うかのような第5波もピークアウトしつつあるが、ウィズコロナ時代はまだまだ続くと考えざるを得ない。逼迫するコロナ医療の最前線で戦う医療従事者の皆さんには、ただただ感謝する以外にない。
高齢者は、コロナ感染に出来るだけ近づかないようにしている。感染対策を取り入れた日常生活は、リモートワークやオンライン会議などと共に「新しい生活様式」と呼ばれたが、広く行き渡ったせいか、最近では余り耳にしない。感染対策をし、不要不急の外出を自粛する生活様式への違和感はなくなったが、コロナ禍での生活の変化は少なくない。
飛行機は勿論、新幹線で遠くへ行くこともなく、旅行に出掛ける気にもならない。レストランも酒類提供がなければ意欲がわかないし、ネットでの買い物も多くなった。オンライン飲み会をしたことはないが、子供や孫たちとの顔合わせは、Zoomでの「元気かい?」が当たり前になった。学会や会議へのZoom参加も増え、スマホには馴染まない私であるが、パソコンと向き合う機会は本当に多くなった。学会、研究会も、司会者の時は現地参加するが、ほとんどはWeb参加であり、友人、知人とのコミュニケーション機会の減少は甚だしい。友人、知人と直接会えないことがこんなに寂しいとは・・・、自分が何を目的に学会に参加していたか、改めて思い知らされた。
巣ごもり状態ではあるが、運動不足、ストレス解消のために出掛けるのは芝生公園での散歩、ゴルフである。3密を避け、野外でできるスポーツとして注目を集めるようになったのか、最近はゴルフ場へ来る女性や若い人が多くなった。コロナ禍で業績が悪化している業種が多い中、ゴルフ業界の売上は増えているようで、松山英樹プロのマスターズ優勝も拍車を掛けたのであろう。高齢者ふたり家庭では、亭主が出掛けることは家庭内ストレス解消にもなり、またゴルフの記憶力改善、認知症予防の効果も報告されており、積極的に続けざるを得ない。(T.Y.)
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