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一般向けメールマガジン 第187号

HEART WEB NEWS No.187

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第187号】2021年3月1日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:3月9日は「脈の日」
 ドクターのつぶやき:新型コロナウイルス感染症と血栓症
事務局移転のお知らせ
 ご寄附のお願い

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【トピック】

3月9日は「脈の日」

 日本脳卒中協会は、3月9日が「3・9(みゃく)」と読めることから、「脈の日」と定めて、国民に脈をチェックすることを呼びかけています。そして、日本脳卒中協会と日本不整脈心電学会では、脈の日から一週間(3月9日?15日)を「心房細動週間」として、心房細動による脳梗塞を起こさないよう、予防啓発を行っています。

 心臓は左右の心房、左右の心室の4つの部屋に分かれています。心臓は通常1分間に約70回、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返して、全身に血液を送り出していますが、この心臓のリズムは、心房にある洞結節と呼ばれるところから出る電気的な信号によってコントロールされています。

 心房細動は、洞結節とは別のところから異常な電気信号が出て、心臓にもどってくる血液を受ける最初の部屋になる心房が、部分部分がまったくばらばらに細かく収縮する状態、こきざみに震えている状態になる不整脈です。そのため、心房から電気信号を受ける心室の動きにも規則的なリズムがなくなり、また心拍数が増えることもあり、心室から全身に血液を送り出す機能が低下します。
 心房細動では、脈の乱れ、胸の不快感や痛み、動悸、息苦しさ、運動時の疲労感、めまいといった症状が起こります。一方で症状がまったくない人もいます。心房細動の患者さんの約半分は症状がないという報告もあります。

 心房細動があっても、そのためにすぐに生命が脅かされることはありませんが、心房内の血液の流れが悪くなるので、心房内に血栓ができやすくなります。その血栓が心臓から動脈を通って脳に運ばれ、脳の血管に詰まって脳梗塞を起こすことがあります。心臓でできた血栓は比較的大きく、脳の太い動脈を詰まらせるため脳の広い範囲が壊死して重い脳卒中となり、死亡したり、寝たきりになる可能性が高くなります。
 ですから、心房細動による脳卒中の予防は、健康寿命の延伸のためには大変、重要です。

 心房細動の原因の一つには加齢があり、超高齢社会の日本では患者数が増加しています。
 この「脈の日」を機会に、ご自分の脈をチェックし、脈がおかしいと感じたら、病院で心電図検査を受けてみましょう。そして、心房細動を惹起するようなストレスや暴飲暴食、寝不足などの生活習慣を改善しましょう。
 また、心房細動と診断されたら、脳梗塞を起こさないよう、きちんと治療しましょう。

 日本心臓財団では、バイエル薬品と共同して制作した心房細動と心不全に関するビデオ講座を3月9日にホームページにて公開する予定です。
 ぜひ一度ご覧ください。 

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【ドクターのつぶやき】
 
 新型コロナウイルス感染症と血栓症

 新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっている。1年前に武漢がロックダウンされた時には、多くの人は、こんなことをしないとだめなのかと驚くとともに他人事とも感じていたが、感染が欧米諸国から全世界に急速に広がり、我が国でも緊急事態宣言が出され、繰り返し自粛生活を余儀なくされている。
 当初は亡くなる人も多いが、高齢者がかかる単なる肺炎で若い人は重症化しない、インフルエンザで亡くなる人の方が多い、などと軽んじる傾向にあったが、タレントのS氏や女優のOさんなどの有名人が、急速に重症化して亡くなる事例が繰り返し報道され、怖い病気とすり込まれるようになった。

 そうした中、肺炎のみではなく、欧米諸国の病院からは脳梗塞が多発した、血管が詰まって脚が切断された、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)が頻発する、などの報道が広く行われ、この病気は血管も侵す怖い病気と知られるようになり、血管疾患を見ることの多い筆者の外来でも良く質問を受ける。
 そこで日本の現状はどうなのか、日本静脈学会・肺塞栓症研究会は合同で全国の837施設を対象にアンケート調査を行っている。新型コロナ感染症患者1,243例中静脈血栓塞栓症は7例、0.6%で、肺塞栓症は5例、0.4%に過ぎず、それらは全て人工呼吸器を装着した重症例に発生している。しかも肺血栓塞栓症が直接の死因となっている方はおられない。
 一方、日本血栓止血学会・日本動脈硬化学会の調査では、動脈血栓症含め全体の5,687症例中、血栓症は105例で 1.85%、重症例では13.2%、深部静脈血栓症41例(全体の 0.72%)、肺塞栓症 29例(全体の0.51%、ただし重複あり)であり、やはり肺血栓塞栓症は全体で低率であり、一方で、重症患者に多いという結果が同様に示されている。
 これらの結果からみて、欧米諸国と比べて、我が国では新型コロナ感染症患者が桁違いに少なく、亡くなる方も少ないが、また同様に血管疾患を併発する例も多くなさそうである。

 病気が及ぼす影響は、国や地域、環境、人種などにより、大きく異なることはよく知られているが、新型コロナウイルス感染症も同様で、正しく怖れ、しっかり予防することが大事である。(H.S.)

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【事務局移転のお知らせ】

 日本心臓財団事務局が12月7日より、下記に移転いたしました。
 (電話番号、ファクシミリも変更になりました)
 
 〒101-0047
 東京都千代田区内神田2-7-10 松楠ビル6階
 TEL:03-5209-0810 FAX:03-5209-0830

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