一般向けメールマガジン 第168号
HEART WEB NEWS No.168
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第168号】2019年8月15日発行(月刊)
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【目次】
トピックス:誰も教えてくれなかった心筋梗塞の新常識
お知らせ:まごまごするより、まず検診。
イベント情報
ドクターのつぶやき:健康老人を増やして社会参加を
ご寄附のお願い
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【トピックス】
誰も教えてくれなかった心筋梗塞の新常識
3月に横浜で第83回日本循環器学会学術集会市民公開講座「心臓病・血管病を予防して健康長寿」が開催されました。
今回はその中から、心筋梗塞について伊苅裕二先生(九州大学教授)がお話しされた内容をご紹介します。
もっと詳しい内容は、当財団ホームページ、機関紙「季報」6月発行号をご覧ください。
心臓に血液を送る血管(冠動脈)が動脈硬化などによって狭くなり、血液の流れが悪くなるのが狭心症、血管内に血のかたまり(血栓)ができ、血流が途絶えてしまうのが心筋梗塞です。
心筋梗塞発症後は、心臓の筋肉(心筋)の細胞が死んで、急激に減少します。発症後4時間以内に閉塞した血管を再開通できれば、細胞が死んでいくのを止めることができ、死亡率も減少します。つまり、最大限の治療効果を引き出すには、一刻も早く再開通することが重要です。
心筋梗塞を起こした患者さんは、ドクターヘリや救急車で病院に搬送されてきます。病院の入り口をくぐり、PCI(血管内にカテーテルと呼ばれる細い管を通して血管の詰まっている部分をバルーンで押し広げる治療)で再開通させるまで「90分以内」というのが世界的な目標時間です。日本の平均時間は64分で、88.7%が90分以内に再開通できている計算になります。にもかかわらず、死亡率や再発率が高いのは、「病院に来る前」の時間が長いためと考えられています。
搬送が遅れるのには、患者さん本人が、大したことない、大げさにしたくない、と思ってしまうことや、自分は心筋梗塞にならないという先入観、緊急治療の有効性を知らないといった理由が考えられます。心筋梗塞から命を救えるかは時間との勝負ですので、15分以上経験したことのない胸痛があれば、迷わず救急車を呼びましょう。
狭心症や心筋梗塞の原因となる動脈硬化の最大の危険因子はコレステロールです。コレステロールが多くなりすぎると、血管の壁のなかに余分なコレステロールがたまり、だんだん大きくなって血管の内腔(血液の通り道)が狭くなります。それが何かの拍子に破裂すると、血のかたまり(血栓)がk形成されて血管を完全にふさぎ、そこから先の細胞が壊死してしまいます。つまり、心筋梗塞予防のカギはコレステロールにあるといえます。
現在、LDLコレステロールの基準値は70~139mg/dLとされています。しかし、コレステロール研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したブラウン&ゴールドスタイン博士は、「LDLコレステロール値の正常値は25~60mg/dL」と述べています。
現代内科学の父と呼ばれる循環器内科医、ブラウンワルド医師は現在89歳ですが、自身のLDLコレステロールを「30mg/dLまで下げている」と豪語しています。私の患者さんでも、LDLコレステロールが生まれつき30mg/dLという方がいらっしゃいますが、実年齢は60歳なのに対し、血管年齢は22歳で、95歳以下で亡くなった身内はいないそうです。
心筋梗塞予防のためには、コレステロールが高い方はきちんと治療して、積極的に下げることが大切です。
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【お知らせ】
まごまごするより、まず検診。(ACジャパン&日本心臓財団)
今月よりテレビ、ラジオ、新聞広告を通じて、日本心臓財団の新しいACジャパンの支援キャンペーンが放送されています。
岸部一徳さん演じるおじいさんが孫と遊んでいるうちに・・・
高齢者の心不全を予防するため、とくに治療効果の高い弁膜症の早期発見と適切なタイミングでの治療を啓発しています。
ACジャパンのキャンペーンの動画ページ(リンク)
https://www.ad-c.or.jp/campaign/support/support_03.html
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【イベント情報】
□■救急の日 2019
日時:2019年9月8日(日)11時~17時
場所:アクアシティお台場 3階 アクアアリーナ
*展示は11時より、ステージイベント(救命講習など)は13時より
お問合せ先: 日本救急医療財団 総務部 03-3835-1199
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【ドクターのつぶやき】
健康老人を増やして社会参加を
日本人の平均寿命が更に延びて、2018年に生まれた子どもは、男性は81.25歳、女性は87.32歳まで生きると考えられ、半数が生存していると推定される「寿命中位数」は女性で90.11歳、男性は84.23歳と厚生労働省が発表している。75歳まで生きる割合は女性で88%、男性で76%にのぼり、半数以上の女性は90歳まで生きるとされ、まさしく人生100年時代であり、多くの日本人は22世紀まで生きることになる。
一方、人口問題研究所による日本の将来推計人口は、21世紀の終わりの2090年には、6668万人となり、現在の人口の半分になる。
他方、河合雅司氏の未来の年表や地図帳によると、わずか15年後の2033年には、2166万戸が空き家となり、空き家率は30%に達するという。空き家のみならまだしも、まずは東京、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏に人口集中が進み、その減少は全国均一ではなく、その後は、西から東へと人口移動が起こって東京圏の一人勝ちとなり、人口が減らないのは出産期の女性が多く集まる首都東京のみとなる。多くの市町村の自治体が職員や議員などの体制を維持できなくなるのみではなく、都道府県すらも存続が困難となる状況が出現する。過疎地区の広がりとともに、無医地区が急速に増加して、医師の都会への偏在がより顕著となる。医師も患者がいなければ生活できないのである。
5年後の2024年には、3人に1人は65歳以上の、6人に1人は75歳以上の高齢者となり、18歳未満の学生は学校にいるため街で見かけることは少なく、歩いている人の半分は高齢者となる。となると、何としても高齢者に頑張ってもらわないと日本の社会は成り立たなくなる。ところが自立して生活できる年齢を指す「健康寿命」は、2016年時点で女性は74.79歳、男性は72.14歳で、平均寿命とは大きな開きがある。このギャップをできるだけ埋めて、健康老人を増やして社会に参加を促すことが、喫緊の課題として重要であろう。
未病に勝る治療は無い、と言われる。日本心・血管病予防会では、毎年市民向けの啓発活動を行っており、本年は発足10周年記念講演会を、10月12日に京王プラザホテルで開催する。興味ある方は御参集ください。詳細については後日、日本心・血管病予防会(http://shinkekkan.com/)にて発表されます。(H.S)
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