一般向けメールマガジン 第159号
HEART WEB NEWS No.159
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第159号】2018年11月1日発行(月刊)
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【目次】
お知らせ
トピックス:世界ハート・リスタートの日(10月16日)が行われました
お知らせ:心臓の「叫び」に気づいてください。
イベント情報
ドクターのつぶやき:AIとシンギュラリティ
ご寄附のお願い
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【トピックス】
World Restart a Heart (WRAH) day
世界ハート・リスタートの日(10月16日)が行われました
救急蘇生に関する指針の作成やトレーニングについては、世界中が同じガイドラインのもとに実施されています。これは国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が中心になって作成しており、日本では日本蘇生協議会(JRC)がその一員として参画しています。
救急蘇生ガイドラインは5年ごとに最新のエビデンスをもとに改訂されていて、現在は2015年のガイドラインをもとに、JRCが日本国内でのガイドラインを制作し、全国で市民の心肺蘇生法やAEDの使い方の普及啓発が行われています。
今年、ILCORはWorld Restart a Heart (WRAH) を提唱し、10月16日を「止まった心臓を心肺蘇生で再起動させる」日として、世界中で同じ日(10月16日)に心肺蘇生トレーニングを行うことを勧告しました。これは世界で初めての試みです。
日本もこれに賛同し、JRC(構成22団体)、アメリカ心臓協会(AHA)、日本循環器学会 AHA 国際トレーニングセンター、東京慈恵会医科大学救急医学講座が実行委員会となって、10月16日(火)午前10時より、東京慈恵会医科大学内の講堂にて、35ヵ国59名の駐日大使およびスタッフが集まって心肺蘇生トレーニングが実施されました。
多くの駐日大使館スタッフに参加してもらい、心肺蘇生(CPR)に関する一般市民の意識を高めるとともに、2019 年にわが国で開催されるラグビーワールドカップや 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックでの海外からの訪問者や国内からの参加者の心停止発症に備えようというものです。
当日は、東京都小池百合子知事からのメッセージが披露され、駐日大使代表であるサンマリノ共和国特命全権大使マンリオ・カデロ氏、東京都医師会新井悟理事の挨拶の後、東京慈恵医大の武田聡教授、獨協医大の菊地研准教授を中心としたインストラクターにより、英語でのハンズオンリー(胸骨圧迫のみ)CPRとAED のトレーニングが行われました。
また、トレーニング後には、CPR評価が可能なマネキンを使用したゲーム形式の胸骨圧迫で、楽しみながら深さやリズムを体感してもらいました
最後に、AHAのブルック・ランカスター氏から、CPRの重要性についてのまとめがありました。
参加者からは大変好評であり、今後も東京オリンピックに向けて、どこで倒れても国際人も含めてCPRが迅速に実施され、世界一安全な都市であることを目指し、市民によるCPRの普及がさらに進展することを期待して、JRCはこうした活動に邁進していくとのことです。
JRCのホームページには、わかりやすい心肺蘇生法の動画が掲載されています。皆さんもぜひ一度、ご覧ください。
そして、機会があれば心肺蘇生法講習に参加してください。
日本蘇生協議会(JRC)ホームページ
http://www.japanresuscitationcouncil.org/
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【お知らせ】
心臓の「叫び」に気づいてください。(ACジャパン&日本心臓財団)
この7月から1年間、テレビ、ラジオ、新聞広告を通じて、日本心臓財団の新しいACジャパンの支援キャンペーンが放送されます。
今回も、ユニークな内容で、高齢者の心不全を予防するため、とくに治療効果の高い弁膜症の早期発見と適切なタイミングでの治療を啓発します。
ACジャパンのキャンペーンの動画ページ(リンク)
https://www.ad-c.or.jp/campaign/support/support_03.html
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【ドクターのつぶやき】
AIとシンギュラリティ
最近、世の中AI、AIと騒がしい。ついこの間までITさらにIoTなる言葉がメディアに氾濫していたが、最近はAIに置き換わってしまったようだ。今や、AIは車の自動運転や画像認識のみならず、株式の投資まで応用されつつあると聞く。私たちの生活のあらゆる面でAIが利用され始めており、また着実に進化しているようだ。
AIの進歩は、半導体の研究者から見れば、半導体の微細加工の技術革新が指数関数的に伸びていることに表れているという。これは、「半導体の集積率が18か月で2倍になる」というムーアの法則に由来する。この法則が正しければ、倍々ゲームで記憶容量が拡大し続け、2045年には人類はシンギュラリティ(特異点)を迎えると予測されるのである。すなわち、AIが人間の脳の働きを超える瞬間があり、それが2045年というわけである。
もしそうなれば、人間はAIに支配されてしまうのであろうか。しかし、少し冷静に身の回りを見てみると、もうすでにAIが人間を超えてしまった事例があるのに気づく。
先日、将棋棋士のA級八段、糸谷哲郎氏に将棋や囲碁のコンピュータ・ソフト(AI)の話を聞く機会があった。
勝負のむつかしさ(手数の多さ)から言えば、囲碁>将棋>チェスの順になるらしい。ゲームソフトの開発もディープ・ブルー(チェス)、ボナンザ(将棋)、アルファ碁(囲碁)が、次々にトップ棋士を打ち負かし、2017年5月には、アルファ碁が世界最強の阿潔九段(中国)を打ち負かした。これで、チェス、将棋、囲碁といった「完全情報公開ゲーム」は、AIの勝利が明らかになったのだ。
では、これらのゲームが世の中からなくなるのかといえば、決してそうではなく、プロ棋士がAIとの公式勝負を放棄しただけである。その後も、人間棋士同士の勝負は従来通り行われており、観戦する人々の関心も変わりはない。プロ棋士の直感や挑戦魂を楽しんでいるのである。
一方、ポーカーのような不完全情報ゲーム(手の内が不明のゲーム)は、まだ人間の方が優位性を保っているらしい。AIは嘘が付けず、嘘が見破れないからだという。
そのうちにAIも嘘の習性を見抜いて、逆に嘘を仕掛けてくるに違いない。他者を騙すのは動物界ではサルと人間以外には見られないという。そう考えると嘘が付けるのは超高度な知能といえるのかもしれない。
もしそうなら、女房との駆け引きで日頃からトレーニングを積んでおくのも人類の進化につながるのかもしれないが、本当にそうだろうか。読者のご意見を聞きたいものである。(M.H.)
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