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一般向けメールマガジン 第146号

HEART WEB NEWS No.146

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第146号】2017年10月2日発行(月刊)
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【目次】
 トピックス:おいしい食事と心血管病は表裏一体?
 STOP MI(ストップ 心筋梗塞)
 血管健康くらぶ
 AEDサスペンスドラマゲーム
 イベント情報
 ドクターのつぶやき:HFpEP(ヘフペフ)とはどんな病気?
 ご寄附のお願い

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【トピックス】

 おいしい食事と心血管病は表裏一体?
  ~ハートレシピで心血管予防~

 2017年7月27日、日本心臓財団とエドワーズライフサイエンス社が秋田県とコラボレーションし、秋田県の食材を使った健康メニュー、ハートレシピを発表しました。そのプレスリリースより、秋田大学心臓血管外科教授の山本浩史先生のご講演を紹介いたします。詳細は季報(9月10日発行、第228号)に掲載されています。


 現在、世界における死亡原因は、虚血性心疾患が第1位、脳卒中が第2位となっており、やはりまだ、これらの疾患を克服することが世界の課題となっています。日本ではすべての臓器のがんを合わせた形でがんが死亡原因の第1位になっていますが、臓器別にみるならば、心臓病、脳卒中が多くなります。

 秋田県は、平成22年の平均寿命の統計で47府県中男性46位、女性39位と下位にあります。世界標準でみれば決して低い寿命ではありませんが、全国平均に比べると1歳以上の差があります。
 死亡率が高いということは、医療能力(病気を治す力)より患者数・重症度(病気を作る因子)のほうが大きいということです。医療能力には、患者さんを診断する力、運搬する力(搬送能力)、そして治療する技量、その後の術後管理や看護、介護などが含まれますが、これらには限界があります。ですから、病気を作る因子を減らすほうに重点を置くという政策が最も重要になります。

 秋田県には、美味しい食材がたくさんあります。お米もお酒も美味しく、またいぶりがっこのようなご飯が進む美味しい漬け物もあります。納豆に砂糖をかけて食べるという習慣もあります。ですから、食塩消費量、砂糖消費量、酒類消費量が全国でも高い地域になっています。
 その結果、高血圧や糖尿病、脂質異常、肥満などの生活習慣病リスクも高くなります。
 高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満は、「死の四重奏」と呼ばれ、この4つが重なると心血管病を発症するリスクが高くなり、さらにここに喫煙が加わると、命に関わる状況になりやすいということになります。

 最近の日本全国における心臓血管外科の疾患別年間手術割合をみると、大動脈疾患と虚血性心疾患を合わせると半分を超えています。大動脈疾患(胸部・腹部)、虚血性心疾患、一部の弁膜症疾患は動脈硬化が非常に関係する疾患です。
 秋田大学の成績では大動脈疾患が半分以上を占めますが、これに虚血性心疾患を加えますと7割近くが動脈硬化・高血圧に由来する疾患です。
 
 どんなに治療技術が進んでも、医療能力には限界があります。生活習慣を正して病気にならないようにする、病気の数を減らす、重症にならないようにすることが重要です。
 ハートレシピは、おいしい食材を健康的に食べるレシピの提案になります。

 日本心臓財団ホームページ「ハートレシピ」
 http://www.jhf.or.jp/heart_recipe/

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【STOP MI(ストップ 心筋梗塞)】

 心筋梗塞が起こる前に、こんな症状が・・・

 心筋梗塞は、一旦発症すると致死率約40%の非常に怖い病気です。

 心筋梗塞で入院した人の院内死亡率は10%以下で、入院後の予後は良好です
が、心筋梗塞による死亡の多くは、入院する前におこります。

 そのため、心筋梗塞を一旦発症した人を助けるためには、一刻も早い救急搬
送や、AEDの活用が重要ですが、それでも救命が難しい場合も多くあり、発症を
予防することが重要です。

 幸い、心筋梗塞患者の約半数は、発症前に前兆を自覚していることが知られ
ており、この前兆の時点で治療すれば、心筋梗塞の発症を防ぐことができます。

 そこで、この前兆の存在を広く知ってもらい、前兆を感じたらすぐに病院へ
行くようにできれば、その人達が心筋梗塞を発症するのを防ぐことができます。

「胸の痛み、圧迫感、紋扼感」「胸やけ」「腕・肩・歯・あごの痛み」・・・


 *日本心臓財団は日本循環器学会が推進する心筋梗塞(MI)予防のための啓
発活動であるSTOP MIキャンペーンを支援しています。
ぜひ下記サイトをご覧になってください。
 http://stop-mi.com/

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【血管健康くらぶ】

 身体よろこぶ動画をシェアしよう!
 動脈硬化予防きっかけムービーをフェイスブックにて配信中。

 血管健康くらぶのページ
(フェイスブックをやっていなくても観ることができます)
 https://www.facebook.com/doumyakuc2/

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【AEDサスペンスドラマゲーム】

 皆さん、もうやってみましたか?
 日本循環器学会と「減らせ突然死」プロジェクトが制作した、AED・心臓
マッサージを楽しく学べるサスペンスゲーム「心止村 湯けむり事件簿」。
 ある老舗の温泉旅館で倒れたひとりの男。そこからはじまる命をかけたサス
ペンスゲーム。 問題を解いていくと、自然とAEDや心臓マッサージの方法が
身につくゲーム型のウェブコンテンツです。

 AEDサスペンスドラマゲーム
 「心止村 湯けむり事件簿」
 http://aed-project.jp/suspence-drama/
 または「AEDサスペンス」で検索

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【イベント情報】

 □■東京:慈恵PUSHコース

 日 時:2017年10月14日(土)13時半~14時半
 場 所:慈恵会医科大学1号館5階講堂
     東京都港区西新橋3-19-18
 内 容:簡単キットを使った胸骨圧迫とAEDの講習会
 参加費:無料 (どなたでも参加できます)
 詳細:http://www.atagoqq.org/event/show/149
 *当日、飛び入り参加も可能です。

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【ドクターのつぶやき】
 
 HFpEPとはどんな病気?

 世の中、コンセプトが変わるのには、時間がかかるものである。 
 ガレノスの時代に、心臓は熱の産生源(炉)と考えられていた。AD 2世紀の頃である。
 William Harveyが、血液は循環することを見出し、心臓が血液のポンプであることを記述したのは、1628年のことであり、このコンセプトに至るまで1000年以上の時間を要している。
 Harveyは英国からイタリアのパドヴァ大学に留学し、そこで伝統的な解剖学を学んだ成果として、この発見があったとされている。
"Seeing is believing (百聞は一見にしかず)といわれている由縁である。

 さて、心不全とは、どんな病気と考えるか。
 BC1500年頃のエジプトの遺跡から発見されたミイラに心不全によるとみられる肺水腫の形跡が認められている。
 心不全を病態として認識したのはヒポクラテスの時代(BC 3世紀)で、肺水腫における胸部ラ音を記載している。
 しかし、心不全と血行動態異常を明確に結びつけたのはRaymond Vieussens とされる(17世紀)。
 彼は当時多くみられた僧帽弁狭窄症の病理所見を詳細に記述しており、僧帽弁狭窄症では、静脈圧上昇が著明で、浮腫を中心とした右心不全が心不全の本体と考えられていた。

 さて、治療に目を向けると心不全に限らず、あらゆる病の治療に古くから瀉血治療が行われていた。しかし、その実体は魔除け的な民間療法でその有効性は甚々疑わしいと言わざるを得ない。
 18世紀になって英国エジンバラのWitheringが民間の薬草治療法の中からジギタリス葉に注目しその薬効を記載したのが、心不全の浮腫治療の最初といえる。
 当時はジギタリスの利尿効果が注目され、心不全の病態の中心は腎臓にあると考えられていた。

 心不全を心臓の収縮機能から理解しようと考えるようになったのは19世紀に入りStarlingやSarnoffらが心臓力学の基礎を築いてからである。
 心収縮性の指標として左室駆出率(EF)が用いられ、"心不全はEFの低下した状態(HFrEF)と考えられ"、EFを上昇させる強心薬の開発に力が注がれた。
 しかし、この頃から心エコー検査が普及し始め、EFの低下していない心不全が高齢者や女性に多いことが報告され始めた。
 最近ではHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)とよばれている。しかし、HFpEFの原因や病態についてはよく分かっておらず、有効な薬剤も見つかっていない。多くの臨床試験でHFrEFに有効性が実証されたACE阻害薬/アンジオテンシン受容体拮抗薬やβ遮断薬はHFpEFには無効であることがわかった。
 ここに至ってEFは心不全の診断の決め手ではなくなりBNP (NTproBNP) が重症度の指標に置き換わりつつある。高齢社会を迎えHFpEFの重要性は益々高まりつつあるが、再び闇の中に入ってしまったようだ。
 HFrEFの治療にβ遮断薬が導入されることに20年以上の長い時間がかかったとのと同様に、HFpEFを理解し、そのコンセプトを受け入れるのは必ずしも容易でない。
 いつの時代も、誰もが、今こそが最も科学の進歩により全てが分かったように勘違いしているが、実は殆んどが闇の中である。HFpEFの本体が明らかにされるのはいつのことになるだろうか。(M.H)

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