一般向けメールマガジン 第128号
HEART WEB NEWS No.128
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第128号】2016年4月4日発行(月刊)
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【目次】
トピックス:意外と多い静脈疾患
血管健康くらぶ
AEDサスペンスドラマゲーム
イベント情報
ドクターのつぶやき:我が国の救急初療体制は入口と出口を勘違いしている!
ご寄附のお願い
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【トピックス】
意外と多い静脈疾患
血管の病気というと、動脈硬化や大動脈瘤など動脈疾患を連想しがちですが、静脈の疾患も意外と多いのです。
静脈には皮膚に近いところを流れる表在静脈と筋層内を流れる深部静脈があります。
静脈は心臓に戻っていく血管のため、動脈ほど血圧にさらされません。逆に、足先の血液などは引力に逆らって上に戻っていくため、足の筋肉や静脈内にあって逆流を防ぐ弁が重要な役割を担っています。
つまり、二足歩行を始めた人間にとって、足の静脈は非常に負荷がかかるようになったともいえます。
その上、椅子での生活や、飛行機や車による長時間の移動など、足を動かさない現代生活が、さらに静脈疾患を発症しやすくしているといえるでしょう。
下肢静脈瘤は、足のふくらはぎのあたりの表在静脈に血液が溜まって瘤のように、ぼこぼこ膨らんで見える疾患です。うっ血の強いところは血液成分がしみ出して茶褐色に変色することもあります。
症状は足のむくみやだるさ、重く感じることです。また足がつったり、痒みがある場合もあります。さらに、足の血管が浮き出て見えるため、美容上の問題もあります。
軽症も含めると、女性の20%が静脈瘤を持っているといわれています。主な原因は、妊娠・出産時に静脈圧が上がって弁が壊れることや、立ち仕事などによる静脈への負荷、加齢などです。
治療は、弾性ストッキング着用によるうっ血防止と、最近は表在静脈の血管内をレーザーで焼いて閉じることにより血液の逆流を防ぐレーザー治療(血管内焼灼術)が行われています。
一方、長時間、足を動かさないでいると深部静脈内の血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。血栓が血管内を移動して肺動脈を詰まらせると、肺血栓塞栓症となり、命に関わる場合もあります。長時間の飛行機移動もそうした原因となることから、エコノミークラス症候群という名でも知られています。
治療は抗血栓薬が用いられます。また、予防には弾性ストッキングが効果的です。
詳細は、日本心臓財団ホームページ「今月のトピックス:血管の病気を知ろう(2)静脈疾患」(監修:重松宏)をご覧ください。
http://www.jhf.or.jp/topics/2016/004143/
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【血管健康くらぶ】
日本心臓財団と動脈硬化予防啓発センターが共同運営する動脈硬化予防サイト「血管健康くらぶ」では、動脈硬化の予防に生活習慣を改善するさまざまな情報を掲載しています。
血管健康くらぶ
http://www.doumyaku-c2.jp/
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【AEDサスペンスドラマゲーム】
皆さん、もうやってみましたか?
日本循環器学会と「減らせ突然死」プロジェクトが制作した、AED・心臓マッサージを楽しく学べるサスペンスゲーム「心止村 湯けむり事件簿」。
ある老舗の温泉旅館で倒れたひとりの男。そこからはじまる命をかけたサスペンスゲーム。 問題を解いていくと、自然とAEDや心臓マッサージの方法が身につくゲーム型のウェブコンテンツです。
AEDサスペンスドラマゲーム
「心止村 湯けむり事件簿」
http://aed-project.jp/suspence-drama/
または「AEDサスペンス」で検索
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【イベント情報】
□■慈恵PUSHコース開催
一般の方々を対象にした、簡易心肺蘇生コース「PUSHコース」
(胸骨圧迫とAED使用法に限定した、お子さんにもわかりやすい講習)
日 時:4月23日(土)14:00~15:00
場 所:慈恵大学病院(新橋本院) 高木会館1階ロビー
東京都港区西新橋3-25-8
参加費:無料
申込み:http://www.atagoqq.org/event/show/104
*当日飛び入り参加も可。
□■第9回呉市民フォーラム
日 時:2016年5月14日(土)13:30~16:00
会 場:くれ絆ホール(呉市役所内)
呉市中央4-1-6
参加費:無料(申込不要)
共 催:呉循環器病研究会、呉市医師会、呉市薬剤師会、等
基調講演
「心不全」北川知郎(広島大学)
教育講演
「メタボリックシンドローム」田村律(呉医療センター)
「心臓いきいき作戦」本藤達也(中国労災病院)
「不整脈」平位有恒(呉共済病院)
「禁煙」木戸幸司(済生会呉病院)
ほか
*手話通訳付
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【ドクターのつぶやき】
我が国の救急初療体制は入口と出口を勘違いしている!
―ER型へ転換が必要ではないか?ー
欧米の救急体制はいわゆるER(emergency room)型で、ウオークインも救急車もすべて1つの窓口で扱われる。したがってER型救急病院、すなわち小児から成人まで、内科・外科・産婦人科・小児科等あらゆる患者に対応できる病院となる。このような体制が国際的にはスタンダードである。
一方、我が国の救急初療体制は、ER型は少なく、一般的に一次救急(ウォークイン患者で軽症なら帰宅、必要に応じて2次・3次救急病院へ紹介)、2次救急(中等症で一般に救急車で運ばれ、入院の可能性あり)、3次救急(多発外傷、広範囲熱傷、ショック、心肺停止等の重症患者)と初療の入口が3つに分かれている。
しかも2次救急病院の多くは単科対応である。また、小児科、産婦人科等は別のことが多い。
このようにわが国の初療体制では1次(軽症)、2次(中等症)、3次(重症)のどの救急施設に行くかを、医師の関与なしに、救急患者自身または救急隊が即決しなければならない。さらに、救急患者の病態は刻々と1次から2次へそして3次へと変化することがあることは当然である。
したがって、救急患者は1次から2次へ、さらに3次へ、あるいは単科の2次救急病院を受診した患者は患者の病態に応じた他の2次救急や3次救救病院へと転々とすることになる。突然生じた病態の変化に戸惑っている患者並びにご家族にとっては大きな迷惑である。
つまり医療機関側の都合で救急患者を選んでいることになる。
病態の安定している待機的疾患患者では問題ないが、救急体制として妥当であろうか?
そもそも、病態が急変した救急患者が軽症か、中等症か、重症化の判断やどの診療科の疾患なのか、単科対応であるどの2次救急病院に行くべきかの判断は初療担当救急医が診察・検査して初めて可能である。
すなわち、診察終了後、初療の出口で、救急患者に対してあなたは帰宅OK ですよ、緊急入院・緊急手術・ICU等に入る必要がありますよと説明できる。
例えば突然の腹痛の救急患者でも帰宅可能か、緊急入院・緊急手術患者か、その対象疾患が消化器、循環器、産婦人科、泌尿器・腎臓科、整形外科等のどれかは初療担当医師が診察・検査をして初めて可能であって、それ以前に患者も救急隊も分かるはずがなく、診察・検査前には医師も判断できない。
わが国の救急初療体制は入口と出口を勘違いしているのである。この矛盾を是正するためにはER型救急病院やER型救命救急センターを総合病院に整備する以外にないと思うが、いかがであろうか? (H.F.)
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