メールマガジン

日本心臓財団では、皆さまにより多くの情報をお届けするため、
月に一度、メールマガジンを発行しております。

一般向けメールマガジン 第90号

HEART WEB NEWS No.90

=======================================================================
【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第90号】2013年2月1日発行(月刊)
=======================================================================

【目次】

 トピック「21世紀の湯治―和温療法」
イベント情報
ドクターのつぶやき【救急蘇生後の脳障害】
 ご寄附のお願い
事務局便り


========================================================================

【トピック】21世紀の湯治 和温療法研究所所長 鄭 忠和
  
慢性心不全や閉塞性動脈硬化症などの難治性心疾患などに効果があるとされる温熱療法は1989年より研究が始まり、2007年に「和温療法」と名付けられて、現在、和温療法研究所所長の鄭忠和医師(前鹿児島大学教授)を中心に臨床・研究が続けられている。
 「和温療法」は、20世紀後半より難治性疾患に施されてきた外科手術、化学療法、放射線療法等患者にとって苦痛や我慢を強いる治療とは異なり、「和む」医学的治療法として、科学的な細部にわたるデータ研究をもとに、最も効果的とされる条件のもと、副作用もない安全な治療とされ、現在、東京大学のほか、国内12ヶ所の高度先進医療機関を中心に多施設臨床治験が行われている。
 「和温療法」は薬などによる治療方法とは異なり、薬治療と併用することが可能である。室内を均等の60度に設定したサウナ室内で全身を15分間温めることにより、心・血行動態に効果的であることやコストパフォーマンスの面において有効とされる。多施設臨床治験の結果を明らかにすることで慢性心不全などの難治性疾患の治療方法の一環として保険収載されれば、多くの医療機関でも治療を行うことが可能となる。さらに将来は専門医師の指導のもとでリハビリテーション領域にも応用されることも考えられる。
 去る1月29日には平成25年度第1回和温療法研究会が約20名の研究会世話人によって行われ、和温療法研究のこれまでの報告や、今後の活動方針について話し合われたところである


========================================================================

【イベント情報】

 □■市民公開講座「心不全ってどんな病気?心不全を知る、防ぐ、治す!」

   日 時:2013年2月17日(日) 14:00~16:00
会 場:東京医科歯科大学 鈴木章夫記念講堂
       東京都文京区湯島1-5-45 M&Dタワー2階
   参加費:無料(事前予約不要)
   主 催:日本心不全学会
       厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「特発性心筋症に関する調査研究」班
   後 援:日本心臓財団・日本医師会・東京都医師会・東京医科歯科大学

   演 者:磯部 光章(東京医科歯科大学)
       北風 政史(国立循環器病研究センター)
       福田 恵一(慶應義塾大学)
       平山 篤志(日本大学)
       真茅みゆき(北里大学)
       西井 大輔(玄々堂君津病院)

   詳細・問い合わせは 東京医科歯科大学循環器内科
             電話:03-5803-5231
国立循環器病研究センター北風部長室
             電話:06-6833-5212(内線2225)


========================================================================

【ドクターのつぶやき~~救急蘇生後の脳障害】

  このほど、心臓性急死を研究課題にする研究会があって、出席した。研究会で対象となっているのは多くが急死状態から蘇生された症例であった。蘇生例を研究の対象とすることで、何が急死の原因になったのかを追求しようとして発足した研究会である。このような努力が長年、積み重なって、従来、知られていなかった突然死の予兆的な状態にもさまざまなものがあるとわかってくるようになった。それによって、急死するなどとは思いも寄らないでいるような多くの人々の危険が予知され、ときには事前の予防対策がとられるようになってきているのである。

 研究発表を聞いていて、気がつく第一点は、蘇生された人たちのほとんどにAEDが行なわれているということだった。AEDがなければ、この人たちは命を失っていたのである。それはAEDの効用に感嘆させられるとともに、AEDが導入される以前に失われてしまっていた多くの生命を悼ませるものであった。

 気になった第二点は、幸いに蘇生されてふたたび命を得た人たちには高次脳機能障害という厄介な問題を含む可能性があるということだった。心臓機能は回復しても、心停止の時間が長いときには、その間に虚血状態に陥った脳の機能は完全には回復しない可能性がある。脳虚血の進行を防止するために、すくなくない事例で低体温治療が行なわれているが、それでも高次脳機能の障害は起り得る。ある施設では、除細動までに長時間を要した蘇生例の、蘇生後1ないし5年の脳機能調査を行なっていた。データが蓄積すれば、障害パターンやリスクの解析、低体温療法などの治療効果の評価に役立つし、職場復帰にあたっての留意事項として有用であろうと思われる。

 AEDの普及によって、多くの人々が生命をとりとめることができるようになってきた。この人たちが従前と同じような生活を楽しみ、生きていてよかったと思えるようになるために、これらの人々を対象とする研究は今後、蘇生後の脳障害からの救済にも向けられていかなければならない、と教えているようであった。(T.S.)

 
========================================================================

【ご寄附のお願い】

 日本心臓財団は皆様の寄附により支えられております。
 http://www.jhf.or.jp/kifu/
 なお、日本財団の提供するシステム(CANPAN)を利用して、当財団でもインターネットによる寄附(賛助会費含む)ができるようになりました。
 カード決済になりますが、こちらのほうが便利な方はぜひご利用のうえ、ご寄附をいただけますと幸いです。なおご寄附につきましてその金額は問いません。
 また当財団への寄附は税制上の優遇措置が受けられます。なにとぞ宜しくお願いいたします。


========================================================================

【事務局便り】

 先日、前鹿児島大学教授鄭忠和先生の和温療法研究所を訪ねた。「和温療法」についてお話を伺うとともに、「治療」を体験させていただいた。血圧、脈拍、体温、体重を測った後、適温とされる60度に保たれた電話ボックスのような縦型のサウナ室で座位姿勢で15分全身を温め、その後室外で臥位姿勢で全身を毛布やタオルで包み込まれた状態のまま30分間保温する。汗をかいて身体の中から老廃物が抜け出していくようだ。いつの間にか気持ちよく眠ってしまった。眠りから覚めた後の体重は200gほど減量していた。体重測定の後に300mlの水分補給を行った。
  北風が強く吹く日であったが、屋外に出てもしばらく体はポカポカしてその効果を実感した。


========================================================================

 日本心臓財団HEART WEB NEWS
 発行:日本心臓財団
 http://www.jhf.or.jp/

[ご意見・ご感想、配信先変更・配信中止等はこちらのアドレスにご連絡ください]
 response@jhf.or.jp

メールマガジンアーカイブ

こちらのアーカイブでは過去に配信されたメールマガジンをご覧いただくことができます(登録不要)。

一般向け

メディア・医療関係者向け

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い