一般向けメールマガジン 第100号
HEART WEB NEWS No.100
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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第100号】2013年12月6日発行(月刊)
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【目次】
TOPICS「だから怖い!歯と心臓の意外な関係」
お知らせ
ドクターのつぶやき「医師不足を解決する夢のプラン」
ご寄附のお願い
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【TOPICS】だから怖い!歯と心臓の意外な関係
近年、世界各国の研究によって、歯周病が単に口の中だけの病気ではなく、心臓病や血管病、あるいは糖尿病など全身に影響を与えていることが明らかになっています。
まだ証明できた段階ではなく、疫学的な証拠がたくさん見つかってきたという段階ですが、歯と心臓の関連性は予防にとって大変重要です。
狭心症や心筋梗塞は心臓周囲の血管(冠動脈)の動脈硬化が原因で起こります。その動脈硬化を進行させる危険(リスク)因子のうち、加齢・家族歴(家族が比較的若い時に心筋梗塞を起こしている)はどうしようもないことです。
肥満は体質もありますが、それでも生活習慣に気をつけて、コントロールすることができます。
その他の危険因子である高血圧・脂質異常・喫煙・糖尿病(1型を除く)は生活習慣に気をつけることで、自分でコントロールすることができます。
変えられるものを変えていきましょう。
さて、この動脈硬化に対する危険因子の中で、最近、歯周病菌が心血管病と大きく関連していることが明らかになってきました。
東京医科歯科大学で実際に動脈硬化を起こした血管の中の瘤(プラーク)を調べてみると歯周病のばい菌がいたのです。
また、一説には"60歳未満で歯周病が重症化し、破骨細胞による骨の吸収(骨が解ける)が起きている人は、そうでない人と比べて2.48倍、心筋梗塞が発症しやすい"と言われております。実際、狭心症や心筋梗塞になる方は同年代で比べても喪失歯が多く、歯周病菌に感染している方が多いことも同大学の研究で明らかになっています。
歯周病を予防・治療することは、重要な心臓病予防の一つになるのです。
生活習慣に気をつけるとともに、毎日の歯磨き(ブラッシング・うがい)にさらに意識をしてみてください。
東京医科歯科大学第1回市民公開講座(2013年11月9日開催)
磯部光章先生(循環器内科教授)ご講演より
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【「消費者のためになった広告コンクール」金賞受賞のお知らせ】
昨年10月から本年2月までBS日テレで放映された「生命のハーモニー」のCMとして流れた「AED普及促進:あなたしか救えない命(1)川崎さん編」(PUSHプロジェクト:日本心臓財団・大阪ライフサポート協会)が、第53回消費者のためになった広告コンクール(公益社団法人日本アドバタイザーズ協会)で金賞を受賞しました。
このCMは、日本心臓財団のホームページやYoutubeでも流しているメッセージビデオ「あなたしか救えない命」を短く編集したものです。
あなたしか救えない大切な命(PUSHプロジェクト)メッセージビデオ
http://www.jhf.or.jp/aed/movie.html
PUSHプロジェクト
http://osakalifesupport.jp/push/
公益財団法人 日本アドバタイザーズ協会
http://www.jaa.or.jp/index.html
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【ドクターのつぶやき】
‐医師不足を解決する夢のプラン‐
医師不足が叫ばれて久しいが、さらに最近では各科による医師の偏在も問題となっている。小児科医・産婦人科医のみならず、将来は外科系医師の不足も懸念されている。
昭和30年代には医学部卒業生は約3,000名、その後の医学部増設に伴い9,000名近くとなり、現在の学部定員増加により近い将来は毎年10,000名近くの医師誕生が予想される。それでも、無医村の解消、大都市圏への集中や科目による医師の偏在等が解消するようには思われない。
医療施設の増加、医療の専門化や細分化、社会及び行政制度による必要医師数の増加があったとしても、この間の人口の増加と対比すると、現在の医師不足・医師偏在の解決の難しさが浮かび上がってくる。
一方で、医師の本音としては、教育・指導体制が整っており、知識や新技術の取得に便利な都会での大学病院や大規模病院などで医師として働く環境が望ましいのも事実である。このことは、新しい研修制度が始まると地方から大都市圏の研修指定病院に応募者が殺到したことからも理解され、都市に集中する若い研修医の行動を単純に非難することはできない。
単に、医師数の増加や医学部を増設しても全国に医師が均等に散らばってくれるなどは期待すべくもなく(すでに70年代の医学部増設でも問題解決に至らなかった事実がある)、何らかの方策を国全体として制度化し、支援する体制と国民的合意が必要と考える。
そこで、自分なりにこの問題を解決する夢のプランを考え、つぶやいてみる。
1)医師の過疎地域には車で1時間以内に到達できる範囲に地域中核病院を全国に整備する。
2)地域中核病院の指導医には身分・報酬等の特典を与え、5~10年に1度新技術や知識の再習得用のリフレッシュ制度を設ける。都市圏の指導医で定年を迎えた医師をシニア指導医として活用する。都市圏などの研修指定病院の現役指導医には5~10年に1度、半年程度の地方病院での出張指導を義務付け、指導医としての資格継続や昇進、専門医資格、教育機関への登用などの資格に加える。
3)新卒の医師には研修期間中に1~2年地域中核病院での研修を義務化する。
4)基礎医学から臨床医への転向を希望する医師の研修プログラムに地域中核病院での研修を含め、専門医資格取得期間などの短縮を考慮する。
5)子育て等で医療活動を中断していた女性医師の現場復帰を国として制度化して奨励し、地域・都市の大学病院と中核病院がその研修のプログラムを全国統一規格で行なう。
6)国と地方自治体はこれらの制度の施行と地域中核病院の設置・整備の行政面と財政面の支援を行なう。
7)科目による医師の偏在については、医師数・患者数の統計から各専門分野で必要な専門医の概数を計算し、それぞれの科における専門医資格獲得人数を制限・均等化する方策を採る。
ここまで考えてくると、その実現には強力な政治のリーダーシップ、制度改革、財政面での裏づけ、医学部・大学病院の役割、国と地方自治体の協力、などあまりにも多くの難問が山積しているのに気づくのである。また、このプランの中には医療報酬の問題も含めた医療経済的な視点、職業選択の自由などの法律論はまったく考慮されていない。したがって、プランの実現化を模索する段階から多数の異論・反対が噴出することが予想され、実現の可能性にはつい悲観的になってしまう。そして、いつの間にか"つぶやき"が"ため息"となってしまうのである。(M.H.)
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