大動脈瘤手術の緊急性、危険率
3年前に胸部鈍痛で受診したところ、大動脈弁狭窄症(二尖弁)と診断され、弁出口部の血流の乱れから上行大動脈を内壁から損傷し。40ミリまで拡大していました。人工弁置換術を胸部正中切開で受けました。先日の検診時、大動脈の拡張が懸念されるため、CT検査したところ、55ミリまで拡大していました。主治医からは早めの手術をすすめられています。
最悪の場合、大動脈弓までの交換を前提に相談します。
1)手術の緊急性について。
2)手術による定量的な一般的リスク(死亡率、後遺症他)
3)手術時間
4)同じ場所の胸部切開でしょうか。
5)術後の生活制限はありますか。
6)手術費用はどのくらいでしょうか。
回答
1)手術の緊急性について:結論から言いますと、55mmであれば手術をお受けになるのが適当であると思います。大動脈弁狭窄の時の上行大動脈の血管壁には従来考えていたのと違って特別な変性があり、将来これが動脈解離を起こす可能性も高く、今日では50mm位の拡大で手術適応とするのが普通です。60mm以上というのは、どちらかというと、通常の動脈瘤の場合のことであると思います。早めに手術をお受けになることをお奨めします。
2)手術のリスク:日本全体での手術の統計でみますと、上行大動脈瘤の手術死亡率は大体3%位です。もちろん再手術ということで、若干のリスクは上乗せされると思いますが、今日では癒着を防ぐための色々な手段も行なわれるのが普通ですので、再手術で格段にリスクが高いというものではないと思います。
3)手術時間:手術のやり方や、色々な条件によって異なりますが、4時間?8時間くらいではないかと思います。
4)胸部切開の部位は大体同じ部位で行なうのが普通です。
5)術後の生活制限は現在と同じであると思います。人工弁を入れておられるわけですので、それによる服薬等ある程度の生活制限はありますが、再手術をされたからといってそれが増えるわけではないと思います。
6)手術費用:現在は保険でほとんど支払われますので、手術そのものは高額ですが、お支払いに必要な金額はそれほどではないと思います。また高額医療の場合には上限が設定されています。昔は一旦支払った後、申請して払い戻されるシステムでしたが、現在では最初から計算して請求されますので、普通の所得の人では一ヶ月大体15?16万円位です。高額所得者の方であればさらに6?7万円が上乗せされます。もちろん高額の個室を使用されたりしますとその分は別に請求されます。