孤立性上腸間膜動脈解離の経過観察
当初、異常は認められないということでしたが、発症時血液検査で炎症反応がありました。血管造影剤を使用した体幹部CTで上腸間膜動脈本管部が三日月状であること、3次元画像からも写し出された血管が平常の人より少ないこと、大動脈での解離が認められないこと、画像から判断し「血栓閉塞型の孤立性上腸間膜動脈解離」と診断されました。
1年半前のCT検査では、本管径が8mm弱(2mm/年増)、最近は不明です。
医師の話では、孤立性上腸間膜動脈解離は稀な病態で、症例も少なくアプローチが難しいとのこと。バイパス等の外科的治療もあるが、大動脈と異なり血管自体が細く、今回は抹消の広範囲まで及んでいて手術はできない。仮に外科的治療を行ったとしても小腸切除は避けられず、血管も細いことから命に直結するとのことで、側副血行路も出てきており血管を広げつつ血液を流れやすくし経過観測するしかないとのことでした。
経過観察では主にどの程度のタイミングで、どのような検査・診察を基に、何を診ていく(判断する)必要があるのでしょうか?
回答
孤立性上腸間膜動脈解離で偽腔が血栓で閉塞した形で径が8mmであると理解しました。
孤立性上腸間膜動脈解離は稀な疾患であると思います。私自身は今までに2例ほど経験したことがあり、そのうち1例は今でも1年に一度経過観察しています。その例は偽腔が開存していて、径が12mmぐらいで10年近く経過を観察していますが、ほとんど変化がありません。
この例は偽腔が血栓閉塞していますし、径が8mmと拡大も大したこともありませんので、今後とも破裂など問題を起こすことはほとんどないといっても良いと思います。一応経過観察のため、1?2年に一度CTもしくは腹部エコー検査をしたら良いと思います。
解離が上腸間膜動脈の末梢まで及んでいても症状(腸管虚血)がなければ、そのまま放置でよいと思います。腸管虚血の症状は食後に腹部に疼痛を起こすのが主なことです。