疾患別解説

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マルファン症候群による大動脈解離の術後心不全

18歳 男性
2004年7月10日

18歳の息子についての相談です。急な背中の痛みにより救急車で運び緊急手術となり、人工血管、人工弁に置き換えました。担当医の話では、大動脈は破裂寸前、心臓は3倍になっていたそうです。人工弁、脳に行く大動脈までを人工血管に置き換え手術を行ったが、大動脈は足の付け根まで裂けている状態。マルファン症候群による大動脈解離だそうです。思いのほか回復が悪いため、いろいろな検査をした結果、心房中隔欠損症(ASD)が見つかりました。
今までまったく気がつかず18年過ごしていました。
今は心不全状態で肝臓がかなりうっ血している状態です。むくみもかなりあり、その結果、吐き気、食事が食べられない状態です。
ASDの検査結果は50%の血液が逆流しているそうです。医師の話では、ASDが原因かも知れないが、肝臓の状態や、18年間ASDに気がつかなかったので癒着があるだろうし心臓の状態を考えると手術は避けたいとのことです。この先この子はどうなってしまうのだろうととても心配です。親として何もしてあげられず、医師にお任せするほかないのですがとても不安です。

回答

御子息の大動脈解離と心房中隔欠損症についてお答えします。
マルファン症候群で心臓が3倍の大きさになっていたということからすると、かなりな程度の大動脈弁閉鎖不全があったものと思われます。したがって、大動脈弁と上行大動脈の置換手術を受けられたのは適切な治療であったと思います。ただ、手術の時期がいつであったかにもよりますが、術後1ヶ月以上も経てば、すでにかなり良い状態に快復しておられるのが普通です。

現在でも浮腫がひどいのであれば、他に何らかの原因があると思われます。心房中隔欠損が存在したとしても、それが今回の手術の結果に重大な影響を及ぼすことはまれです。50%の血液が逆流しているといわれていますが、50%の血液が短絡しているということだと思います。そしてその程度の短絡が現在の心不全の原因であるとは一般には考えにくいところです。したがって、今の状態ではさらに心房中隔欠損の閉鎖手術をするよりも、心不全に対する内科的治療を続けるべきであると思います。

心房中隔欠損の存在に気づかなかったので癒着があるだろうというのではなく、再手術なので癒着があるだろうということだと思います。

結論的にいいますと、現在の御子息の状況が強い心不全であるならば、何らかの原因を考えなければなりません。ただ、私のこの意見は医師ではないご家族が医師からお聞きになったことをまた聞きして判断しているわけですので、その点はご了承ください。

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