疾患別解説

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リウマチ性僧帽弁膜症とPTMC

56歳 女性
2008年3月 5日

56歳の母が、リウマチ性僧帽弁狭窄症と診断されました。医師の話では、弁口面積が1平方cmを切っているので何らかの治療が必要とのこと。現時点での治療法は弁置換が一般的だが、この弁の状態ならPTMC(経皮的交連切開術)も可能かもしれない。また、あまり期待はしないほうが良いが、技術のある先生であれば弁形成で対応してくれることもあるかもしれないとのことでした。
母の生活の質を考えると、自己弁を温存する方法で何とかできないかと考えています。弁置換しかないのであれば生体弁置換をお願いしようかと思っていますが、PTMCや弁形成が可能であれば、そちらのほうでの対応を希望しています。ただ、PTMCは一時しのぎの治療法でやはり再狭窄率が高く、再狭窄の場合には狭窄の度合いが高くなったり、弁がより硬くなってしまうことがあるとも聞きます。
1)PTMC手術は一時しのぎの治療なのでしょうか(後々外科手術を行うことを前提とする治療なのですか)。
2)最初から弁置換をするのとPTMC治療後(再狭窄後)の弁置換とでは危険性はかなり変わるのでしょうか。
3)僧帽弁狭窄の場合、弁形成は一般的ではないようですが、弁の状態によっては不可能ではないのでしょうか。

回答

PTMCが可能であればそちらの方を受けたいというお考えのようですが、PTMCが可能であるかどうか、PTMCで良い結果が得られるかどうかは、ひとつにかかって弁の性状によります。それは狭窄の程度だけでなく、弁の下の組織がどの程度癒合しているかといったことによりますので、こういった弁を検査することの多い循環器内科の専門医に判断してもらうことが第一であると思います。しかし、現実にリウマチに罹患しておられるのは大変若い時期であると思われますので、56歳になられた弁でPTMCに良い結果を期待するのはなかなか難しいことであると思います。また、PTMCで良い結果が得られるようなな弁であれば、開心術を行って弁形成術を行うことも十分可能です。
ただ、このリウマチによる僧帽弁狭窄症の手術は最近非常に少なくなっていますので、昔、僧帽弁狭窄症がまだたくさん見られた頃から心臓手術を手がけておられる外科医にお願いされるのが良いと思います。そうでないと、経験豊富な医師であると弁形成術が可能な弁が弁置換をされてしまう可能性は否定できません。

そういったことで、ご質問の(1)「PTCMは一時しのぎなのか」への答えは、弁の性状によるということになります。あまり良い適応でない患者さんに対してPTMCを行えば一時しのぎの治療になりますし、大変良い適応の場合はこれで一生を終える可能性もなしとはしません。
(2)「最初から弁置換をするのとPTMC治療後の弁置換とで危険性は変わりないか」ということについては、両者の間に危険性の差はありません。
(3)僧帽弁狭窄症の場合でも、弁の性状によっては、弁形成術は不可能ではありません。

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