PTMCの成功率
自宅2階までの階段を上がると動悸がするので病院を受診し、僧帽弁狭窄症と診断されました。14歳のときにリウマチ熱を発症しており、その後遺症とのこと。
今回の病院受診の際に心房細動を発症していたので、電気的除細動を行い、洞調律に戻りました。現在の洞調律時の心エコーでは、弁口面積は0.9?1平方cm、僧帽弁は柔らかく、血栓がないなどPTMC(経皮的経静脈的僧帽弁交連裂開術)の適応があると言われました。
これまでに、ホームページで医療相談を受け付けている心カテーテル実施数の多い病院にPTMCの実施実績を問い合わせました。それらによれば、消極的意見としては「PTMCは確実性の点で劣り、再発も少なくない」、「PTMCや直視下交連切開術では再発率が高く(長くても1桁の後半年)、心臓手術の安全性が高まっており弁置換を第一選択としている」と回答されています。一方、積極的な意見では、「一般的には侵襲の多い手術ではなく、まずはPTMCというのが世界の流れ」との回答でした。
PTMCの成功率、PTMCや直視下交連切開術での再発率(再発までの年数)等について、詳しく教えてください。よろしくお願いします。
回答
1)PTMCの成功率といわれると、ちょっと困ります。程度に差はありますが、必ず、少しはよくなるからです。ただ、充分に狭窄が広げられていないと、4?5年たつと再度、狭窄が強まります。かなり太いカテーテルを静脈から、心房中隔を経て、左心室まで挿入するので、心房中隔穿刺部位の孔の残存が9%くらいにみられ、カテーテルが心臓の外に逸脱することによる心臓タンポナーデという現象が1%くらいに起こるとされています。狭窄を切開すると逆流が強まることがあるのですが、このために、開心手術になるという場合が0.7%にあるといわれます。
2)直視下切開術の場合は、症状の改善は91?99%にみられるのですが、一方、手術死亡率が0?2.3%にあるといわれています。再狭窄は狭窄の切開が充分ではなかった場合にみられやすく、20年の観察で、再狭窄が50%にあったという報告があります。
3)あなたのようなケースですと、まずは、PTMC、ついで、直視下手術ということになるでしょう。この所見程度のケースでは、他に特殊な事情がない限り、弁置換手術になることはないと思います。