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高齢者の左主幹部狭窄の治療

88歳 男性
2006年10月27日

私の父についての相談です。
半年前にカテーテル検査を行い、アテローム動脈硬化、左主冠部75%の狭窄という結果でした。主治医より、リスクはあるが薬剤溶出性ステントを挿入する治療を行うか、リスクを回避しての投薬治療かの選択をするように言われました。主治医は薬剤溶出ステントの挿入を勧めましたが、投薬治療を選択し、その後、2、3週間ごとに通院していました。
今回、発作回数が増えていることもあり入院治療となりました。1週間くらい血液の循環を良くする点滴治療をした後、薬剤溶出性ステントの挿入を勧められています。
しかしながら、本人はステント治療の施術日が数回変更されたことなどから、病院に対する不信感を持っており、自分でネットを検索し、別の循環器専門病院でDCA治療を行っているのを見つけ、直接その病院に電話して、90歳の人でも成功していると聞いたそうです。
一般的に、左主冠部の狭窄にDCA治療は有効かどうか、ご意見をお聞かせください。

回答

左冠動脈主幹部の狭窄が原因でかなりの薬物治療にもかかわらず狭心症発作を繰り返しているとすれば、カテーテル治療かバイパス手術により血行を再建することが必要です。一旦閉塞すれば死を免れないからです。88歳という年齢を考えるとバイパス手術は危険性が高いので、普通はカテーテル治療が選択されます。
しかし、この左冠動脈主幹部のカテーテル治療はカテーテル治療の中でも一番難しい(死亡率が高い)部位で、カテーテル治療の経験が豊富な医師が治療を行うべき部位です。高齢でなければバイパス手術を勧められることが多かったのですが、薬剤溶出性ステントが出現してからはステント治療が増えています。
左冠動脈主幹部の病変に対してDCA治療も有効ですが、一般的に広く行われている治療法ではないので、それが必要な部位か(同じ左冠動脈主幹部でも狭窄の部位によって難しさ、危険性が異なる)、左冠動脈主幹部に対するDCAの充分な経験があるか(一概に何例とは言えませんが)、を尋ねてみる必要があります。
しかし何れの治療法に成功しても、再び狭窄が進行して(再狭窄)急死につながる可能性が残っていますから、慎重な経過観察が必要です。

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