左主幹部の狭窄はバイパスかステントか
半年前、狭心症治療で2本ステントを入れましたが、6ヶ月後の検査の結果、先端のステントの一部に90%の再狭窄が認められたのと、左主幹部の狭窄が昨年末より進行しているとのことでした。
主治医から、ステント治療・バイパス手術どちらでもいいとのお話で、考えた末にステント治療にしましたが、その後、血管が細い(2.5mm)のでステント治療と手術と意見が分かれる、とのお話をもらいました。
いろいろ調べると、左主幹部の狭窄は手術が適用とありますが、ステント治療では治療効果が上がらないのでしょうか。
回答
左主幹部の50%狭窄に対して、バイパス手術かステント術治療のどちらを選択するかというご質問ですが、なかなか微妙な問題です。施設や実施する医師の経験等や病変部の性状などについても考慮しなければなりません。
ご質問のメールでは、主幹部血管が細いこと、また末梢部血管(1枝か複数枝か不明ですが)にすでにステント挿入を受けておられることを考えると、一般的にはバイパス手術をお勧めすると思います。
主幹部に対するステント挿入術の危険性は急性閉塞ですが、もし急性閉塞が生じれば心筋の広範部に虚血が生じて非常に危険な状態になります。血管径が2.5mmであれば大きい血管に比べてステント挿入がより困難になります。一方、バイパス不術は長期予後を改善することが多くの臨床研究で明らかにされています。
したがって、一般的にはバイパス手術を勧める医師が多いと思います。バイパス手術では次を考える必要はないことが期待されます(1回で済む)し、手術の危険性も大きく改善されています。ステント挿入術は、期待に反してうまく行かない時の危険性が心配です。