エプスタイン奇形の手術を避けたい
先天性心疾患としてエプスタイン奇形があります。エコー検査で腹部血管に水が溜まっていることがわかり、2年以内に手術する必要があると言われました。
できるだけ手術をしたくはありません。手術せずに服薬や生活の改善などで今より心臓の状態を改善することは可能ですか。またどうしても手術となった場合、どのような手術で現状での成功率と改善効果度を教えてください。
現在、脈拍が45前後で低体温(34?35度)、手のしびれ・むくみがあります。夜、横になって寝ると、胸の圧迫感があります。
回答
出来るだけ手術したくありませんと言っておられますが、病状からみまして手術は避けられないと思います。
服薬や生活の改善などにより、若干状態を良くすることは有り得ると思いますし、受診された先生のお話のように1?2年の間は何とか耐えられるかもしれませんが、あまり遅くなると手術のリスクも高くなりますので、早めの手術をお勧めしたいと思います。
ただ、非常に申し上げにくいところですが、このエプスタイン奇形については心臓の中の状態が極めて多彩であり、どのような手術ができるかということは実際に弁を見てみないと判らないという点が多分にあります。そのために手術によってどれくらいの改善を期待できるかということを申し上げにくいのが実情です。ただ、42歳の今日までとにかくこの奇形をもったままで生活してこられたということは、あまり高度な変形を来たしているものではないように考えられますので、エプスタイン奇形に対する手術としては比較的容易なほうではないかと考えられます。しかしあくまでも状況判断であり、実際には先述のごとく弁そのものを見なければ、術前検査だけでは判断が難しいのが実情です。
一番うまくいけば手術後は薬を服用せずに日常生活が十分可能な状態にまで改善することができると思いますが、一般的には術後の服薬は必要だと思います。一番確実なのは三尖弁を人工弁に取り替える方法ですが、それをしても人工弁の機能を維持するために血液凝固を抑制する薬を必要とするからです。
一つ付け加えますが、先天性の病気ですので、大人の心臓手術をたくさん施行している施設よりも、むしろ子供の先天性心奇形の手術もたくさん行っている施設でご相談になるのが良いと思います。