疾患別解説

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心房中隔欠損症の手術の時期は?

39歳 女性
2003年10月31日

娘は、高校生のときに心房中隔欠損症と診断されましたが、本人の自覚症状がないため、そのまま38歳まで病院に行くことはありませんでした。出産時には産婦人科の医師に話はしていたそうです。

先日、動悸、息切れなどの症状が出ないうちに手術をしたほうがよいと診断されました。
1)手術後の副作用、諸症状についてどのようなものが出るのか。
2)不整脈が出る恐れはあるのか。
3)日常の生活に戻れるか。

回答

心房中隔欠損は先天性の心疾患の中で最も症状の出るのが遅い病気です。したがって、かつてはその診断がついても手術を受ける決心がつかずにそのまま成人に達しておられる方も少なくありません。今日では学校健診で見つかった場合、多くは成人に達するまでに手術を受けるように勧められていますが、成人になって就職あるいは結婚に際して手術を受けられるというのも少なくありません。

部分肺動脈還流異常も合併しておられるということですが、これは多くは一部分ですので心房中隔欠損とあまり変わりません。簡単にこの病気のことを申し上げますと、ある程度以上の心房中隔欠損がありますと肺から心臓へ戻ってきた血液が、左心房から右心房へ大量に流れ込み、これが肺へまた出ていくということになって、血液が肺を空回りすることになるのです。肺の血圧がそれだけでも若干上昇するのですが、それに抵抗して肺の血管にも変化が出て、肺高血圧症という症状になることがあります。実際にはこのように肺高血圧症にならない前に手術することが望ましいのですが、肺高血圧になってしまいますと手術をしても後でそれが普通の血圧に戻らなかったり、極端な場合にはそのために手術が出来ないような状態にあっている場合もあります。動悸、息切れ等の症状はそういった場合には出てくるわけで、したがって当然のことながらそういった症状が出ないうちに手術をしなければならない訳です。

手術後の副作用は手術創が出来るということ以外にはあまりありませんが、上記のような症状が出てから、あるいは肺高血圧になってから手術したのでは、症状が良くならないということになります。また不整脈はたとえ手術を行っても手術をした年齢が遅いほど、後に不整脈を残すことが多く、したがってお尋ねの患者さんの場合は手術後にも不整脈が残存する可能性は大きいし、手術後に不整脈が発生してくる恐れもあります。手術しなければもちろん、不整脈は出てきますが、手術をしても手術の年齢が高齢ですので、術後に不整脈が出てくる可能性が大きいのです。

日常生活には肺高血圧症になっていない限り、十分戻れます。細かい検査データが解らなければこれ以上のことは申し上げかねます。部分肺静脈還流異常も同時に手術しなければなりませんが、これはそれほど大きな障害にならないと思います。

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