ウィルス性心筋炎といわれたが・・・
昨年の初夏に心臓がドキドキするので、循環器科へ行ったところ、24時間心電図を取り、心房・心室性期外収縮の単発であると診断され、薬もなくそのまま放置しておくことになりました。
毎日朝の8時から夜10時過ぎまで残業が続き、精神的にも疲れがピークになってきた先月、激しい頭痛、めまい、吐き気、異常な疲れ、肩こり、背中の痛み、呼吸困難、息切れ、動悸、胸痛、足の異常なむくみ、筋肉痛、お尻とかに直径8cmくらいの蚯蚓腫れ、爪が割れる等の症状が現れ、別の心臓血管病院へ行ったところ、三尖弁閉鎖不全症、ウィルス性心筋炎と診断されました。
24時間心電図では、1日30回くらいの不整脈が見られ、昨年と同様期外収縮ということでした。ただ、運動負荷検査の結果と照らし合わせると、心臓に負担がかかった時に、グラフに急激な落ち込みがあり、ストレスや運動は厳禁であると言われました。
心エコーでは、三尖弁が完全に閉鎖していないため、右心室と右心房にかなりの逆流がみられ、心筋虚血の状態になっているのでめまいや全身の血液が流れなくなっていると言われました。
現段階では、三尖弁閉鎖不全症だけでは、ここまでの逆流は起こらないだろうし、総合的に考えて、ウィルス性心筋炎であると言われ、安静にして下さいと言われました。薬を2週間ずつもらっています。
インターネット等で自分の病気を調べてみると、原則入院が必要と書いてあることが多く、ウィルスを直接やっつける薬もないと書いてありました。
それなのに、私は薬を飲んでいるだけ。本当にこれだけで治るのでしょうか?
回答
あなたの訴えである、動悸、息切れ、頭痛、吐き気、不整脈、めまい、胸痛、筋肉痛など必ずしもウィルス性心筋炎あるいは三尖閉鎖不全などに特徴的な症状ではありません。朝8時ごろから夜10時ごろまで残業が続いているとのことですが、全くの健康者であってもかなりハードな仕事のようで症状は精神的な疲労によることも考えられます。また、通常の心電図、運動負荷心電図、24時間心電図、心エコー図、臨床諸検査成績いずれもとくに著明な異常のないことさらにまた24時間心電図でも、心房・心室性期外収縮を含め1日30回程度であれば正常の範囲内であって、問題はありません。運動負荷心電図でグラフに急激な落ち込みがあったということですが、これだけでは何を意味しているのか不詳です。
ウィルス性心筋炎の確定診断上、重要なのはウィルス抗体価の測定です。ウィルス性心筋炎では病期によって急性、亜急性、治癒性、慢性(再発性)、心筋炎後心拡大症などの病型によって活動性が異なり、従って、抗体価も変わってきます。つまり、時期を変えて採血をし測定し、比較しなければなりません。
急性期と回復期に採血し、抗体価を測定し、比較しなければなりません。そして4倍以上の差が出ないと陽性とは判定できません。
なお、三尖弁閉鎖不全は右心房と右心室の境にある弁膜に障害があって弁膜に隙間が生じ、右室が収縮する時に血液が右室から右房へ逆流を起こすものです。聴診器による雑音を聞くとか、ドプラーエコー法によって血液の流れを確認することによって診断されます。
ウィルス性心筋炎、三尖弁閉鎖不全いずれにせよ一度循環器専門医のいる大学病院あるいは総合病院での受診をお奨めします。
なお、投薬についてのご相談ですが、ウィルス性感染時の特効薬は現在使われておりません。長期入院治療する必要があるかどうか分かりませんが、主治医によくご相談ください。